日本のRFID業界をけん引する人々(3)

世界標準に“和魂洋才”で取り組むNEC


柏木 恵子
2007年1月17日


 RFIDを使うメリットが見えれば普及は進む

――実用化がいまひとつ広がっていない原因は何でしょう

平野 1つは技術的な読み取り精度の問題ですね。よくいわれる価格の問題についてですが、タグが安くなれば本当に使われるのかというと、疑問に感じます。例えば、タグを無料で配れば、それでみんなが使うのでしょうか。

 やはり、RFIDを使うことによってどういうROIが出るのか、どう便利になるのかを見せないと、タグが無料であっても使わないと思います。例えば、米沢工場で使っているタグは1個500円です。しかし、リライタブルタイプなので、500回使えば1回1円。使い方によっては、リライタブルタイプの方が安いことになります。

――EPCglobalの動向については

平野  デファクトスタンダード化が進むと価格が下がりますから、その意味ではメリットがありますね。米国向けの売り上げが大きな割合を占める電機メーカーも多いので、米国で広まっているEPCglobalを無視するわけにはいかないでしょう。

――RFIDが普及することで社会はどのように変化しますか

平野 時期は別にして、RFIDは必ず社会インフラの1つになると思います。サプライチェーンで全部つながるという使い方だけでなく、金型管理や文書管理などいろいろな使い方があるでしょう。いまは、RFIDの周波数帯などさまざまな特徴をうまく使うための知恵を出しているところでしょう。

 社会全体が動き出すのは、2007年ごろではないでしょうか。リーダ/ライタを用意して、読めたかどうかという実証実験はすでにあちこちで行われていますし、実際のシステムの一部分で使えるかどうかというテストケース導入が増えてくると思います。NECでも「このオペレーションのこの領域でやりたい」といった相談案件が増えています。いままでとは違うという感触を得ています。

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Index
世界標準に“和魂洋才”で取り組むNEC
  Page1
現場により近いところでRFID事業戦略を立案するために
  Page2
RFIDカンバンを自社の現場で実際に使う
  Page3
世界標準に“和魂洋才”で取り組む
  Page4
ROIを出せるトータルソリューションとして提供
見落とされがちな金型管理は重要なソリューション
Page5
RFIDを使うメリットが見えれば普及は進む

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