日々生み出されるネットサービスやテクノロジーに詳しい著者による、こんなふうにサービスに取り込んだら面白いのではないか、という提案。技術的な応用面にフォーカスしていく(編集部)
こんにちは。以前「音ログ」というネットサービスをやっていた立薗です。当時の音ログの運営で、一番苦労したのはサービスと連携するクライアントアプリの開発でした。
音ログは、iTunesで聴いている楽曲のタイトルをサーバに次々投稿して再生履歴(音ログ)を公開するというコンセプトだったのですが、Mac OS X用のクライアント、Windows用のクライアントをそれぞれ用意して、さらにOSのバージョンの違いによる問題にも対応しなければならず、サーバ側の開発だけでも手いっぱいなのに! と泣きたくなったのを覚えています。
Adobe AIRは、そんな開発者の苦労を軽減してくれるかもしれない、期待の開発プラットフォームです。
Adobe AIRは、デスクトップ上で動作するアプリケーションを開発するためのプラットフォームです。
と、Webアプリとネイティブアプリのいいとこ取りができるのが特徴です。
今回は、PC上のiTunesで再生された楽曲の情報をTwitterに投稿するクライアント「音ログ Air」の開発を行いながら、Adobe AIRの可能性を探ってみたいと思います。
Adobe AIRはFlexと連携できるなど、いくつかの開発手段が用意されていますが、ここではAdobe AIR SDKをベースに、HTMLとJavaScriptを使って開発を行っています。Flash/Flex(ActionScript)を使った開発の仕方については、連載「作って学ぶAIRウィジェットの基礎→応用」を参照してください。
HTMLおよびJavaScriptを用いた開発については、Adobe AIRデベロッパーセンターの下記のページから始めるといいでしょう。
HTMLおよびAjax用Adobe AIRデベロッパーセンター
詳細な解説はヘルプの下記の文書が参考になります。
HTMLおよびAjaxでのAdobe AIR 1.1アプリケーションの開発
ここから先は、Adobe AIRランタイムおよびAdobe AIR SDKがインストールされたものとして話を進めます。開発環境としてはMac OS Xを前提にしていますが、Windows環境でもほぼ同じ手順で開発を行えると思います。パスの設定などは、適宜読み替えて進めてください。
HTML+JavaScriptによるAIRアプリは、以下の3つで最低限の構成ができます。
アプリケーション記述ファイルには、アプリケーションIDやバージョンなどの基本情報のほか、初期アプリケーションウィンドウで使用するHTMLファイル(上記ファイル名を指定)のファイル名などを書き込みます。
これらのファイルが準備できたら、コマンドラインから以下のコマンドを実行することで、実際に動作を確認できます。
% adl アプリケーション記述ファイル.xml
このウィンドウをベースに必要な機能を追加していくことで、アプリケーションを作成することができます。
AIR SDKを使用した初めてのHTMLベースのAIRアプリケーションの作成
それでは、Adobe AIRの提供する機能を紹介しながら、iTunes × Twitterクライアントに必要な機能を実装していきたいと思います。
音ログAIRはローカルのPC上のiTunesで再生された楽曲のタイトルを読み込み、ユーザーのTwitterアカウントに「いま聴いている曲」として投稿するアプリケーションです。
「音ログAIR」のソースはこちらからダウンロードできます。また、設定方法は以下の通りです。
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