GUIアプリケーションで必ずといっていいほど登場するListやTree、DataGridなどの「リスト系」のコントロールですが、RIA開発において、単にこれらのコントロールを標準の状態のまま配置すればOKということはあまりありません。
 例えば、itemRendererという機構を利用することで、リスト内にチェックボックスや画像を表示するなど、内容を別のものに置き換えることができます。これによって、利用範囲が劇的に広がり、ユーザーが直感的に操作できます。
 今回は、リスト系コントロールについての基本から、実践、応用活用例を解説します。
 まず、リスト系コントロールとは、そもそもどういったものでしょうか?
 Flexにおいてリスト系コントロールとは、ListBaseをスーパークラスに持つクラスが、それに当たります。具体的には、List、Menu、Tree、TileList、HorizontalList、DataGridです。
 図1 クラス図
図1 クラス図 リスト系コントロールは、多数のデータを一覧表示するために利用されます。ところが、FlashPlayerは大量の描画オブジェクトを生成して表示するのは、実はあまり得意ではありません。そのためFlexでは、スクロールで見えない分のオブジェクトの生成は行わず、画面内に表示されるレコードの分だけオブジェクトを生成します。
 スクロールが行われると、新たに表示されるレコードと、スクロール外へ移動し見えなくなるレコードが発生します。このとき、表示するデータの内容を入れ替えるケースと、オブジェクトの位置をずらすケースを適宜利用することで、スクロール動作を実現しています。この機構により、FlashPlayer上で大量のレコードデータを含んだリストを、高速に扱うことができるようになっています。
 まずは、リストにデータを表示する方法を解説します。
 
        
          
            | ListSample1.mxml | 
          
            | <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?><mx:Application xmlns:mx="http://www.adobe.com/2006/mxml"
 layout="vertical">
 <mx:Script>
 <![CDATA[
 [Bindable]
 private var dataList:Array
 = new Array("aaa", "bbb", "ccc", "ddd", "eee", "fff");
 ]]>
 </mx:Script>
 <mx:List width="200" height="200"
 dataProvider="{dataList}"
 />
 </mx:Application>
 | 
      
        
 リスト系コンポーネントにはdataProviderというプロパティがあります。dataProviderに配列を指定することで、配列の1要素が1レコードとして一覧で表示されます。
 dataProviderに設定する配列にはオブジェクトを含むことができます。オブジェクトにlabelというフィールドを設定すると、その値がリストに表示されます。オブジェクトの内容はリストのselectedItemなどからいつでも取り出すことが可能です。
          
            | ListSample2.mxml | 
          
            | <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?><mx:Application xmlns:mx="http://www.adobe.com/2006/mxml"
 layout="vertical">
 <mx:Script>
 <![CDATA[
 [Bindable]
 private var dataList:Array = new Array(
 {label:"aaa", data:"AAA"},
 {label:"bbb", data:"BBB"},
 {label:"ccc", data:"CCC"},
 {label:"ddd", data:"DDD"},
 {label:"eee", data:"EEE"},
 {label:"fff", data:"FFF"}
 );
 ]]>
 </mx:Script>
 <mx:List id="list" width="200" height="200"
 dataProvider="{dataList}"
 />
 <mx:Label text="label:{list.selectedItem.label}" />
 <mx:Label text="data:{list.selectedItem.data}" />
 </mx:Application>
 | 
      
        
        
 では、オブジェクトにlabelフィールドを設定しないとどうなるでしょう。
 次の例では、labelではなくnameというフィールドを定義します。
          
            | ListSample3_a.mxml | 
          
            | <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?><mx:Application xmlns:mx="http://www.adobe.com/2006/mxml"
 layout="horizontal">
 <mx:Script>
 <![CDATA[
 [Bindable]
 private var dataList:Array = new Array(
 {name:"aaa", data:"AAA"},
 {name:"bbb", data:"BBB"},
 {name:"ccc", data:"CCC"},
 {name:"ddd", data:"DDD"},
 {name:"eee", data:"EEE"},
 {name:"fff", data:"FFF"}
 );
 ]]>
 </mx:Script>
 <mx:List id="list" width="200" height="200"
 dataProvider="{dataList}"
 />
 <mx:Label text="label:{list.selectedItem.name}" />
 <mx:Label text="data:{list.selectedItem.data}" />
 </mx:Application>
 | 
      
        
 実行すると、[object Object]とリストには表示されます。これはObjectインスタンスのストリング表現です。
        
 正しく表示するためには、リストのlabelFieldというプロパティに、表示したいフィールド名をストリングで指定します。
          
            | ListSample3_b.mxml | 
          
            | <?xml version="1.0" encoding="utf-8"?><mx:Application xmlns:mx="http://www.adobe.com/2006/mxml"
 layout="vertical">
 <mx:Script>
 <![CDATA[
 [Bindable]
 private var dataList:Array = new Array(
 {name:"aaa", data:"AAA"},
 {name:"bbb", data:"BBB"},
 {name:"ccc", data:"CCC"},
 {name:"ddd", data:"DDD"},
 {name:"eee", data:"EEE"},
 {name:"fff", data:"FFF"}
 );
 ]]>
 </mx:Script>
 <mx:List id="list" width="200" height="200"
 dataProvider="{dataList}"
 labelField="name"
 />
 <mx:Label text="label:{list.selectedItem.name}" />
 <mx:Label text="data:{list.selectedItem.data}" />
 </mx:Application>
 | 
      
        
        
 続いて次ページでは、ラベルに表示する内容を加工する方法やitemRendererを使った実践テクニックを解説します。