第10回 WScriptオブジェクトを利用する(1)基礎解説 演習方式で身につけるチェック式WSH超入門(2/3 ページ)

» 2007年05月17日 00時00分 公開

スクリプト・ファイルの情報を取得するプロパティ――1.スクリプト実行情報

 スクリプト・ファイルのパスを取得するにはScriptNameプロパティおよびScriptFullNameプロパティを用いる。

※:ShowScriptInfo.vbs

Option Explicit
WScript.Echo "スクリプト名:" & WScript.ScriptName & vbCrLf & _
             "スクリプトのフルパス:" & WScript.ScriptFullName

 このスクリプト<ShowScriptInfo.vbs>をwscript.exeで実行すると次のように表示される。

スクリプト・ファイルのパスを取得する
ScriptNameプロパティでスクリプト名を、ScriptFullNameプロパティでフルパスをそれぞれ取得できる。

 ScriptFullNameプロパティはスクリプトの存在するフォルダ・パスを取得するのによく用いるので重要である(具体的な方法は第4回の例題で取り上げている)。

 Interactiveプロパティはスクリプトの実行モードが対話モードならTrue、バッチモードならFalseを返す。デフォルトはTrue(バッチモード)である。コマンド・プロンプトで実行する際に「cscript.exe //B <スクリプト・ファイル名>」のように入力すると、バッチモードで起動し、InteractiveプロパティがFalseを返す。なお、バッチモードとは、スクリプト実行中にエラーやEchoメソッドの表示がされないモードである。

 TimeOutプロパティはスクリプトを実行できる最大時間を秒数で返す。既定値は0である(すなわち、途中で中断されることはない)。実行する際に「cscript.exe //T:30 <スクリプト・ファイル名>」のようにするとスクリプトの実行が30秒を過ぎると停止する(ダイアログなども無条件に閉じる)。そのときTimeOutプロパティには30が格納される。

スクリプト・ファイルの情報を取得するプロパティ――2.コマンドライン引数

 コマンドライン引数(スクリプト・ファイルに渡す引数)を取得するにはArgumentsプロパティを用いる。このArgumentsプロパティは、コマンドライン引数情報を含んだWshArgumentsクラスのオブジェクトを返す。このオブジェクトはコレクション・オブジェクトという特殊なオブジェクトであり、中に複数の情報を含んでいる。WshArgumentsオブジェクト(あるいはWshArgumentsコレクション)に含まれる各要素は、コマンドライン引数全体を空白記号で分割した文字列(String型)である。

 コレクション・オブジェクトとは、同じデータ型か同じクラスのオブジェクトの集合である。一般に、Itemプロパティ(多くの場合、それは既定プロパティである)を持ち、その引数に0から始まる(1から始まるものもある)インデックスとなる数値を指定することで各項目を取り出すことができる(数値ではなく項目名を文字列で指定して取得するものもある)。項目の数はCountメソッド(プロパティの場合もある。またLengthプロパティという同等のプロパティを持つ場合もある)で取得できる。例えば、何も含まれてないと0、2つ含まれていると2を返す。また、For Each〜Nextステートメントを用いると各項目の列挙が可能である。

 以上のことを踏まえて、コマンドライン引数を表示するスクリプトを作成してみよう。

※ファイル:ShowParameter.vbs

Option Explicit
Dim strArgument

If WScript.Arguments.Count = 0 Then
    WScript.Echo "コマンドライン引数が指定されていません。"
Else
    For Each strArgument In WScript.Arguments
        WScript.Echo strArgument
    Next
End If

 このスクリプト<ShowParameter.vbs>に、例えば「Eins Zwei "Guten Morgen"」という3つ(*)のコマンドライン引数を付けてcscript.exeで実行してみると次のようになる。

* 空白文字を含むオプションは「" "(ダブル・クオーテーション)」記号でくくる。


コマンドライン引数を列挙する
ArgumentsプロパティからWshArgumentsコレクションの各要素を取得することでコマンドライン引数が列挙できる。

 このように、コマンドライン引数の列挙が可能である。

 なお、エクスプローラ上でvbsファイルにファイルやフォルダをドラッグ&ドロップすることができる。その際そのファイルやフォルダ(複数でも可)のフルパスがコマンドライン引数として渡されるので、Argumentsプロパティから参照することができる。試しに先ほどのスクリプトShowParameter.vbsに、test.txtというファイルをドラッグ&ドロップしたときの実行例を次に示す(*)。

* デフォルトではvbsファイルはwscript.exeに関連付けられているので、ファイルをドラッグ&ドロップした際、Echoメソッドはダイアログを表示する。なお、この関連付けをcscript.exeに変更するには、コマンド・プロンプト上で「cscript.exe //H:CScript」を実行する(戻すには「cscript.exe //H:WScript」)。


ファイルをvbsファイルにドラッグ&ドロップ
ファイルをドラッグ&ドロップすることでファイルのフルパスがコマンドライン引数として渡される。
 (1)ファイルtest.txtを、スクリプト・ファイルShowParameter.vbs上へドラッグしてからドロップする。

 このテクニックは、後の回で取り上げる、ファイルやフォルダを扱うオブジェクトを使うときに役立つので頭に入れておいてもらいたい。

引数の数によって処理を変える

 ここで1つ例題を取り上げる。1つのファイルかフォルダがvbsファイルにドラッグ&ドロップされた場合のみ、そのフルパスを表示し、そのほかの場合(ファイルをドラッグ&ドロップせずにvbsファイルを直接実行した場合や、複数のファイルがドロップされた場合)はその旨を表示する、というスクリプトを組んでみよう。

CHECK!

マーカーで隠れたところを選択してチェックしてみよう。


Option Explicit
Select Case WScript.Arguments.Count
    Case 0
        WScript.Echo "ファイルかフォルダをドラッグ&ドロップしてください。"
    Case 1
        WScript.Echo WScript.Arguments.Item(0)
    Case Else
        WScript.Echo "複数のファイル・フォルダはドラッグ&ドロップできません。"
End Select

 なお、Itemプロパティは既定プロパティで省略可なので、「WScript.Arguments.Item(0)」は、「WScript.Arguments(0)」とも書ける。

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