以上のように、ポリシーの一部ずつを担当しているコンポーネントを「拡張(extension)」と呼ぶ。マイクロソフト以外のベンダが独自の拡張を提供して追加することも可能になっている。
拡張には2種類あり、それぞれGPOの作成と適用に関与している。GPOを作成するのが「サーバ側拡張」であり、作成されたGPOを適用するのが「クライアント側拡張」である。
グループ・ポリシーという全体の枠組みの中で、実際に拡張がGPOをどのように作成し、どのように適用するか、その詳細は各拡張に任されていて、それぞれの拡張の都合によってさまざまである。そのため、同じGPO内でも「素直に」動作するポリシーもあれば、動作に妙に「癖のある」ポリシーがあったりすることにもつながる。例えば、適用されたGPO内の各ポリシーが拡張によってコンピュータへ最終的に反映されるタイミングは、必ずしも同じではない。コンピュータにログオンし続けているだけで適用されるポリシーもあれば、一定の条件を満たさなければ適用されないポリシーもある。あるポリシーが適用されたからといって、同時にそのほかのすべてのポリシーも適用されたとは限らない。
サーバ側拡張は、単純にいって、グループ・ポリシー・エディタ上のポリシー編集画面を担当しているコンポーネントだと考えればよいだろう。すなわち、MMCの[グループ ポリシー オブジェクト エディタ]スナップインの拡張である。
例えば、グループ・ポリシー・エディタでの[Internet Explorer のメンテナンス]の編集画面は、ieaksie.dllなどに実体のあるサーバ側拡張が動作している画面だ。
グループ・ポリシー・エディタでどの拡張を使用するかは、MMCに[グループ ポリシー オブジェクト エディタ]スナップインを追加するときに、[スナップインの追加と削除]ダイアログの[拡張]タブである程度選ぶこともできる。使用するサーバ側拡張を増減させると、グループ・ポリシー・エディタのツリーもおおむねそれを反映して増減する。デフォルトではすべての拡張が使用されるようになっているが、必要なサーバ側拡張だけを[スナップインの追加と削除]ダイアログで追加すれば、必要なポリシーしか編集できないようにした、いわばより安全なMMCコンソールを作成することもできる。
「Internet Explorerのメンテナンス」という拡張を1つだけ追加してみると、次のようになる。
このようにサーバ側拡張を使用してGPOを作成/編集したら、各コンピュータ上のクライアント側拡張がそのGPOの適用を行う。
グループ・ポリシー関係のイベント・ログなどで「拡張子」という言葉に出くわすことがある。まるでファイル名を指すかのような言葉だが、これは上記の「拡張(extension)」を指している。ファイル名の「拡張子」とまぎらわしく訳す必然性はないので、誤訳といってよいだろう。グループ・ポリシーを扱っていてこのような「拡張子」という言葉が出てきたら、ファイル名の拡張子のことと誤解しないよう、注意する必要がある。
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