Windowsのエクスプローラーからアクセスできるのは、ローカルディスクやファイル共有だけではない。FTPサーバー上のファイル/フォルダーをエクスプローラーで操作する方法を解説。
対象OS:Windows 9x/Windows NT 4.0/Windows 2000
FTPは、インターネットなどのTCP/IPネットワーク上で、コンピュータ同士がファイルを送受信するための標準的なプロトコルの1つである。WebブラウザによるWebページの参照が一般化するに従い、現在では、Webの標準プロトコルであるHTTPを利用してファイルを送受信できるケースが増えてきたが、ファイル転送に特化されたFTPの手順は効率がよく、特に低速な回線を使う場合には、HTTPを利用する場合よりも素早くファイルを転送できるなど、現在でも広く利用されている(ただし企業によっては、FTPによる外部へのアクセスを禁止している場合もある)。
Windows OSの標準WebブラウザであるInternet Explorer(以下IE)は、以前よりFTPに対応していたが、Ver.4.xまでのIEでは、FTPサーバーのディレクトリ/ファイル一覧の表示と、ディレクトリの移動、選択したファイルのダウンロードを行えるだけで、クライアント側からのファイルのアップロードを行うことはできなかった。Windows 9xおよびWindows NTには、コマンドラインツールとしてFTPが提供されており、こちらを利用すれば、ファイルの送信も可能だったが、ファイルアイコンやマウスによるグラフィカル インターフェイスを使用してのファイルのアップロードは行えなかった。
これに対しWindows 2000に標準で組み込まれたIE 5.0では、ローカル ハードディスクやネットワークファイルの管理用ツールであるエクスプローラーがFTPに対応し、一見するとあたかもローカル ディスクやLAN上の共有ディレクトリのように、FTPサーバー上のファイルを操作できるようになった。つまり、エクスプローラーでディレクトリ ツリーを表示し、ファイル アイコンをドラッグ&ドロップすることで、ファイルの転送が可能になったわけだ。なお、エクスプローラーを利用してFTPサーバーにアクセスする機能自体はIE 5.xのものであり、従来のWindows 9xやNT 4.0でも、IE 5.0をインストールすることにより、基本的には利用可能になる。ただしアクセスするFTPサーバーを[ネットワーク コンピュータ]に追加するためのウィザードは利用できない(詳細は後述)。
エクスプローラーでFTPサーバーにアクセスするには、まずは[マイネットワーク]でネットワークプレースの追加を行う必要がある。これには、エクスプローラーを起動し、[マイネットワーク]の中にある[ネットワーク プレースの追加]をダブルクリックする。ただし、この[ネットワーク プレースの追加]アイコンは、Windows 2000でのみ利用可能であり、他のOSではアイコンは表示されない。
すると[ネットワークプレースの追加ウィザード]が起動され、次のようなダイアログが表示される。
[A]
ここでは、FTPサーバーのURLなどのネットワークプレースを指定する。指定できるネットワークプレースには、次の3種類がある。
ネットワークプレースの種類 | 例 |
---|---|
FTPサーバー | ftp://ftp.microsoft.com/ |
共有フォルダ | \\server\share |
Webフォルダ | http://webserver/share/ |
ネットワークプレースの種類と指定の例 |
このように、接続先がFTPサーバーの場合にはFTPサーバーのURLを、共有フォルダの場合には共有フォルダのUNC(Universal Naming Convention:Windowsネットワークにおいて、共有資源を表す命名法)を、Webフォルダ(Webサーバーをあたかも共有ファイルサーバーのように機能させるしくみ)の場合にはWebフォルダのURLを指定する。
LAN内部の共有フォルダを指定する場合には、右にある[参照]ボタンをクリックすれば、共有フォルダ一覧をブラウズしながら、接続先をマウスで選択することが可能である。
FTPサーバーのURLを指定したら、[次へ]ボタンをクリックする(今回は例として、Microsoft社のFTPサイトのURLを指定した)。
目的のデバイスが表示されたら、その行をマウスでクリックして詳細情報を表示する。
[B]
インターネット上にあるFTPサーバーの多くは、不特定多数のユーザーがこれにアクセスし、ファイルをダウンロードできるようにしたanonymous FTPサーバーである。anonymous FTPサーバーでは、ユーザーアカウント情報が不要なので、[匿名でログオン]をチェックすればよい(デフォルトでこのチェックボックスはオンになっている)。
接続先が企業の社内FTPサーバーや、一部の会員のみアクセス可能なインターネット上のFTPサーバーなら、ユーザー アカウント情報を指定する必要がある。上のダイアログで[匿名でログオン]チェックボックスをオフにすると、次のように[ユーザー名]を指定できるようになる。
[ユーザー名]には、FTPサーバーにアクセスするためのユーザー名を指定する。パスワードについては、この後、最初にFTPサーバーにアクセスしたときに問い合わせられる。
[C]
ウィザードの最後では、今回指定したネットワークプレースの名前を指定する。ここでは、任意の名前を指定することが可能である(今回は「Microsoft FTP Site」を指定した)。以下に示すように、ここで指定した名前が、エクスプローラーの[ネットワークコンピュータ]の下に追加されたアイコン(接続先)の名前となる。デフォルトでは、ここは[ネットワークプレース]で指定した場所が指定された状態になっている。
前述のとおり、Windows 9xやNT 4.0などの従来のWindows OSでは、IE 5.xをインストールしても[ネットワーク コンピュータ]に[ネットワーク プレースの追加]アイコンは表示されないし、このウィザードを使うこともできない。しかしこの場合でも、ウィザードが使えないことを除けば、Windows 2000と同じようにエクスプローラーを使ってFTPサーバーにアクセスできる。
■Windows 9x+IE 5.xの場合
具体的にエクスプローラーでFTPサーバーにアクセスするには、サーバーのURLをIEまたはエクスプローラーのアドレスバーで直接入力すればよい。頻繁にアクセスするFTPサーバーなど、ショートカットをどこかに登録しておきたければ、こうしていったんFTPサーバーにアクセスし、アドレス バーのアイコンをデスクトップやスタート メニュー、適当なフォルダなどにドロップする。またWindows 2000のように[ネットワーク コンピュータ]内にショートカット アイコンを追加したければ、%windir%NetHoodという名前の隠しフォルダにショートカットを作成する。
■Windows NT 4.0+IE 5.xの場合
Windows NT 4.0+IE 5.xの場合も、Windows 9xの場合とほぼ同様だが、NT 4.0ではエクスプローラーにアドレスバーが存在しないので、必ずIEを起動して、IEのアドレスバーにてFTPアドレスなどを指定する必要がある。またNT 4.0では、ユーザーごとにプロファイル設定が保存されているので、[ネットワーク コンピュータ]にショートカット アイコンを追加したければ、%windir%\Profiles\%username%\NetHood(%username%は自分のユーザー名)にショートカットを作成する。
登録した接続先が誰でもアクセスできるanonymous FTPサーバーなら、ほぼ共有フォルダと同じようにこれを操作することが可能である。たとえばFTPサーバーのフォルダをダブルクリックすれば、FTPサーバー側に含まれているファイルやフォルダが一覧表示される。FTPサーバーからファイルをダウンロードしたければ、ここからファイルアイコンをマウスでドラッグし、適当なローカルフォルダアイコン上でドロップすればよい。これとは逆に、ローカルディスクからFTPサーバー側にファイルをアップロードする場合も同様にドラッグ&ドロップを行えばよい。
このanonymous FTPサーバーとは異なり、ユーザー認証が必要なFTPサーバーを登録したときには、最初にアクセスしたとき(エクスプローラーで追加したアイコンをダブルクリックしたとき)に次のようなダイアログが表示され、パスワードの入力が求められる。
ここでは、FTPサーバーへのアクセス権限を持ったユーザーの名前とパスワードを指定する。右下の[パスワードを保存する]チェックボックスをオンにすれば、次回からはこのユーザーアカウント情報が問い合わせられず、保存された情報によって自動的にFTPサーバーにログインするようになる。いちいち指定しなくてすむようになるので、パスワードを保存しておくと便利だが、セキュリティホールになる可能性があるので注意が必要だ。
エクスプローラーのFTP対応機能は、一言でいえば、従来はコマンドラインからしか使えなかったFTPの機能を、エクスプローラーのGUIから操作できるようにしたものである(FTPコマンドにエクスプローラーのGUIを被せたもの)。詳細は別記事で報告する予定なのでここでは詳しく述べないが、まだインプリメントは完全ではないらしく、編集部でテストしたところでは、いくつかの不都合が見つかった。ただし、いずれも運用で回避できるものである。
その1つとして、認証が必要なFTPサーバーにアクセスしたときに、ファイル一覧が正しく表示されず、ウィンドウが真っ白(空っぽ)になってしまうという問題があった。この問題を回避してFTPサーバーのファイルにアクセスするには、空っぽで表示されたエクスプローラーのウィンドウ領域でマウスを右クリックし、ポップアップメニューの[ログイン方法]を実行する。
すると、上で示した[ログイン方法]と同等のダイアログが表示されるので、ここでユーザー名とパスワードを指定して再度強制的にログインを行う。こうすると、FTPサーバーのファイル/フォルダが表示されるようになる。
■更新履歴
【2000/05/23】「エクスプローラーを利用したFTPサーバーへのアクセス機能は、IE 5.xによって提供されるものであり、従来のWindows 9xやWindows NT 4.0であってもIE 5.xをインストールすることで利用可能になる」としていましたが、これら従来のOSにIE 5.xをインストールしても、記事中で述べている「ネットワーク コンピュータ」内の「ネットワーク プレースの追加」アイコンは追加されないことが分かりました。このアイコンから起動されるウィザードについては、Windows 2000でのみ利用可能です。ただし、このウィザードを利用できないことを除けば、Windows 9xやWindows NT 4.0にIE 5.xを組み込んだ環境でも、エクスプローラーを利用して、ローカルディスクと同様にFTPサーバーにアクセスすることは可能です。これに関する解説部分を訂正し、情報を追加しました。
【2000/03/04】初版公開。
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