Windows 10の時刻がずれたことで不具合が生じた場合、時刻を手動で同期させたいことがある。このような場合、GUIとコマンドプロンプトで時刻同期をすぐに行う方法がある。その方法を紹介する。
対象:Windows 10
久しぶりにWindows 10を起動したら、Windows Updateが実行できなくなった、インターネット上のサーバとの接続にしばしば失敗する、といった経験はないだろうか。しばらくすると接続できるようになるので、原因が分からないままになっているかもしれない。このような症状は、Windows 10の時刻(時計)がずれていると発生することがある。
Windows 10には、ドメインとワークグループで多少の違いはあるが、基準となる時刻を提供するタイムサーバから正しい時刻情報を取得して、ローカルの時計を設定するための方法が幾つか用意されている。そのため、インターネット(もしくは社内LAN)に接続されていれば、自動的に時刻情報を取得してWindows 10の時刻が正確になり、Windows Updateなどが正常に動き始めるのだ。
ただ、設定によっては自動的に時刻情報が取得されず、いつまでも時刻が正しくならず、結果として、Windows Updateやインターネット接続が正常に動作しないことがある(正常な時刻から大きくずれていると、正しく通信できなくなるため)。
そこで本TIPSでは、タイムサーバから時刻情報を取得してWindows 10の時刻を設定する方法を解説する。幾つか方法があるので、成功するまで方法を変えながら試すとよいだろう。
ワークグループの場合、[日付と時刻のプロパティ]ダイアログを使ってGUIによる時刻同期が可能である。[日付と時刻のプロパティ]ダイアログを開く方法は、以下のように幾つかある。
いずれの方法でも、[日付と時刻のプロパティ]ダイアログが開くので、[インターネット時刻]タブを選択し、[設定の変更]ボタンをクリックする。[インターネット時刻設定]ダイアログが開くので、[今すぐ更新]ボタンをクリックすると、「サーバー」で指定されているタイムサーバから時刻が取得され、ローカルの時計が正確なものに変わるはずだ。
なお、定期的に時刻を取得するようにするには、[インターネット時刻設定]ダイアログの「インターネット時刻サーバーと同期する」にチェックを入れておけばよい。
[今すぐ更新]ボタンをクリックしても、エラーが生じるような場合は、「サーバー」のプルダウンリストを開き、別のタイムサーバを選択してから[今すぐ更新]ボタンをクリックしてみよう。
タイムサーバは、「time.windows.com」と「time.nist.gov」の2つが登録されており、デフォルトは「time.windows.com」となっている。タイムサーバを変更することで、同期が正しく行えることがあるからだ。両方のタイムサーバを試しても、エラーが発生して同期できないような場合は、正しくインターネットに接続できているか確認しよう。
上述の通り、デフォルトではタイムサーバとして「time.windows.com」と「time.nist.gov」の2つが登録されているが、ここには手動でNTPサーバを入力することも可能だ。
例えば、インターネットマルチフィードが運営しているPublic NTPサーバ「ntp.jst.mfeed.ad.jp」や、GoogleのPublic NTPサーバ「time.google.com」などを指定してもよい。
ドメイン環境(Active Directoryに参加しているPC)の場合、[日付と時刻のプロパティ]ダイアログに[インターネット時刻]タブがなく、上記のGUIを使った方法には対応していない。
通常、ドメイン環境の場合、ドメインコントローラーと時刻同期されるため、手動で時刻合わせをする必要はない。それでも何らかの理由から時間がずれてしまった場合は、net timeコマンドを使って時刻同期を行うとよい。
それには、ドメインユーザーアカウントでサインイン後、ローカルの管理者権限でコマンドプロンプトを起動して、以下のコマンドを実行する。
net time /set
「Y/N」の確認メッセージが不要であれば、以下のように「/yes」を付けて実行すると、すぐに同期させることができる。
net time /set /yes
w32tmコマンドは、Windows Timeサービス(W32Time)を制御するための外部コマンドで、W32Timeの動作に関わるレジストリの設定や、きめ細かい操作が可能となっている(w32tmコマンドの詳細については、Windowsネットワーク時刻同期の基礎とノウハウ「第3回 w32tmコマンドとレジストリによるWindows Timeサービスの制御」参照のこと)。またNTP(SNTP)プロトコルに対応していることから、LAN内のタイムサーバだけでなく、インターネット上のサーバとも容易に時刻同期ができる。w32tmコマンドを利用して同期を行うには、以下のように実行すればよい。
w32tm /resync
なお、現在どのNTPサーバと同期するように設定されているかは、「w32tm /query /status /verbose」コマンドで確認できる。
時刻が分単位でずれていると、サインインに失敗するなど深刻なトラブルが発生し、ここまで説明してきた時刻同期の手順を実行できないこともある。
そのような場合は、PCのUEFIセットアップあるいはBIOSセットアップを呼び出して、時刻を手動で設定してみよう。時計あるいは時報から秒単位の正確な時刻を読み取り、それを時刻設定欄に手動で入力する。その後でWindows 10を起動すれば、1秒以下の時刻のずれはタイムサーバとの自動的な時刻同期で解消されるだろう。
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