シスコのソリューションはモバイルとブロードバンド

2002/2/7

 シスコシステムズは2月5日、ブロードバンドインフラを利用した「Cisco Mobile Office」(CMO:シーモ)というソリューション戦略を発表した。

 現在、ADSLやCATVなどのブロードバンド環境の普及により、オフィスだけでなく、自宅でも1Mbps以上のインターネットアクセス環境が当たり前になりつつある。

 それによって、自宅にいながら仕事ができるような環境も整いつつある。しかし、出張先や移動先などでは、そうした環境はなく、相変わらずアナログ電話回線やIDSN回線などが主流だ。また、自宅や移動先から会社のサーバにアクセスしたい場合も、セキュリティ上の問題から、アクセスが禁止されていたり、アクセス制限が設けられていたりするのが一般的。つまりはオフィスにいるようには仕事ができないというのが現状だ。

 今回シスコが発表したCMOは、こうした制限を取り払い、どこからでも企業の情報システムにアクセスできるようにするソリューション戦略だ。これにより、ユーザーが移動する先が常にオフィスになり、移動先でもオフィスにいるのと同じように仕事ができるようになることから、これまで以上に生産性が高くなる。それを実現するための技術として、同社の無線システム、VDSL、VPNなどを利用する。

 シスコはこのソリューション戦略を、ブロードバンドサービスを提供するSI、それに企業に提案していくという。また、どこでもアクセスするためのアクセスポイント(ホットスポット)を、駅や空港、ホテル、商業施設などに、無線やADSLなどに設けるため、その提供、拡大を、ISPなどに、アライアンスやプロモーションを働きかけるという。

シスコシステムズ
マーケティング統括 インターネットスイッチング&アクセスソリューション本部 本部長 山中理恵氏

 なお、CMO戦略自体はすでに昨年、米国で発表済みのコンセプト。しかし、その戦略をそのまま日本に適応させるわけではないと、シスコシステムズ マーケティング統括 インターネットスイッチング&アクセスソリューション本部 本部長 山中理恵氏は強調する。山中氏は、「米国では、CMOといえばワイヤレス(無線)といったイメージがあるが、日本ではワイヤレスだけではない。日本では、ADSLなどのブロードバンド環境が急速に整い出している。さらにFTTHの普及もこれからが本番。そのため、日本ではこうしたブロードバンド環境を考慮する必要があるからだ」と語る。

 CMO戦略は、すべてシスコの製品で構成される。こうしたソリューション自体、すべてがシスコの製品だけでなくても実現できるのではとの問いに、「エンド・ツー・エンドですべてのソリューションを持っているのはシスコだけ。とりあえずは当社の製品だけで考える」と、同社 マーケティング統括 インターネットスイッチング&アクセスソリューション本部 アクセスソリューション部 プロダクトマネージャ 横川典子氏は述べた。ただ、今後こうした戦略を推し進める中で、他社製品との接続をすべて否定するわけではないという。

 今回、シスコがなぜこのような戦略ソリューションを発表したかについて山中氏は、「製品単体での売り上げの伸びは、次第に緩やかになっている。これを、無線、VPNなどのソリューションや製品のパッケージ化によって、最終的に全社の売り上げが上がればよい」と、同社が今後、ソリューションに力を入れていくことを強調した。

(編集局 大内隆良)

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シスコシステムズの発表資料

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