新生ノベルのリリース第1弾はセキュリティ製品群

2002/5/21

 ノベルは5月20日、シングル・サインオン機能を提供するソフトウェア「Novell iChain 2.0」「Novell SecureLogin 3.0」と、従来製品の新バージョンである「Novell Portal Services 1.5」「Novell eDirectory 8.6」の計4種類の製品を発表した。ネットワークOSやディレクトリ製品で名高い同社だが、今回はセキュリティを中心としたラインアップとなっている。価格はすべてオープンプライスで、SecureLoginの出荷日が6月28日、ほかの3製品の出荷日が5月31日となっている。

●Novell iChain 2.0

 Webサーバへのアクセスに対して、シングル・サインオンの機能を提供するソフトウェア。複数のWebサーバの前にプロキシ(リバース・プロキシ)として設置することで、「ユーザー認証」「アクセス権限管理」「シングル・サインオン」を実現できる。認証には、別途ディレクトリを参照することになるが、「Novell DirXML」などを組み合わせることで、既存アプリケーションのユーザーアカウントとの同期が行える。従来バージョンであるiChain 1.5に比べ、新たにワンタイム・パスワード/RADIUSのサポートやWebフォーム上での認証画面にも対応するなど、機能強化が図られている(X.509証明書での認証やBASIC認証などは1.5時代からサポートされている)。スケーラビリティも強化されており、複数のiChain間でもシングル・サインオンを実現できるようになっている。さらにプロキシとして動作するため、不正パケットや不正アクセスのブロックが可能であり、ファイアウォール的なセキュリティ機能も持ち合わせていることになる。

 リバース・プロキシ型のシングル・サインオン製品は、すべてのアクセスを中継するためシステムのボトルネックとなる問題点がよく指摘されるが、本製品ではWebコンテンツのキャッシングによるアクセスの高速化などが図られているのが特徴だ。また複数のiChainサーバを設置することで、負荷分散やフェイル・オーバーが実現できるなど、高可用性の運用も考慮されている。

●Novell SecureLogin 3.0

 iChainが対象としているのがWebアプリケーションだけなのに対し、SecureLoginはWindowsアプリケーションやターミナル・サーバ、Webアプリケーション、データベース・アプリケーションなど、一般的なアプリケーションをほぼカバー可能なシングル・サインオン製品。ユーザー認証にはNovell eDirectoryやNDSのほか、Windows NTドメインやWindows 2000のActive Directoryなども使用できる(LDAP3以上のディレクトリ・サーバに対応)。

●Novell eDirectory 8.6/Novell Portal Services 1.5

 ディレクトリ・サーバのeDirectory 8.6は、従来バージョンの8.5からスケーラビリティやパフォーマンスが大幅に強化され、総データベース容量が1TBから8TBに拡張、レプリケーションの高速化やマルチスレッドへの対応など、大規模な環境での運用にも十分に耐えられるようになった。また、動的にグループを作成する「ダイナミックグループ」や、更新部分など差分データのみを提供する「Persistent Search」といった機能追加も行われている。一方のPortal Servicesは、各種データやコミュニケーション機能などを提供する社内Webポータルを構築するためのソフトウェアである。

 先日、「プロビジョニング(Provisioning)」をキーワードに新戦略を打ち出したノベルだが、今回の発表はその戦略に基づいた初めてのもの。これでセキュリティ関連製品のラインアップは充実した。今後eDirectoryとの連携機能をうまくアピールしていくことで、同社の中核製品であるeDirectoryを展開していくための下地ができたといえるだろう。

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