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ITの所有にそれほどの意味はない
2008/03/03
先週の@IT NewsInsightのアクセスランキングは第1位はIBMのクラウドコンピューティング戦略を伝える「世界中に“ミニクラウド”ができる未来」だった。昨年から急激に用いられるようになってきた「クラウドコンピューティング」。今年は日本でも利用を検討する企業が増えるのではないだろうか。
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コンピューティングリソースは基本的にネットワークのあちら側にあり、こちら側ではクライアントPCで処理結果を表示するだけ。ソフトウェアベンダも社内にITシステムを抱えることなく、あちら側のコンピューティングリソースを活用して、高信頼で高パフォーマンスなサービスを開発できる。まさしく雲をつかむような話だが、Amazon Webサービスやセールスフォースドットコム、Facebookはこれらの環境を整えている。雲はそこにあるのだ。
これまで日本企業は社内データを外部に置くことを嫌ってきた。そのためソフトウェアをあちら側に置くSaaSなど新しいソフトウェアの利用形態も遅れがちだった。しかし、そうは言えなくなってきたのではないだろうか。
1つは運用管理コストの増大。社内にITシステムを持つことはそのための運用管理担当を置くことを意味する。同時に電力やスペースのコストもかさむ。世界的な競争にさらされて利益率の向上が求められる日本企業がそのコスト増大にどこまで耐えられるか。そもそも日本企業の多くは不況時に社内のIT部門をリストラしてきた。人員の不足や偏りで疲弊したIT部門は多い。ITの運用部分はあちら側のクラウドに任せて、社内ではIT戦略を練るという考えが浮上してきてもおかしくはない。
もう1つは先進技術への対応だ。社内にITシステムを持つことは自由な構成が可能になる反面、構築したシステムを生かしきらないといけないなど足かせになることもある。注目の先進技術が登場したからといって、すぐに移ることはできないし、リスクが高い。対して、クラウドを先進技術を試行するプラットフォームとして使えば、企業のフットワークは格段に軽くなる。設計、開発、デプロイに数カ月もかけることなく、新しいアプリケーションやシステムを試せるだろう。ITの所有にそれほどの意味はない。
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