EMCジャパンは10月1日、低価格なストレージ製品「EMC Celerra NX4」を販売開始した。最小構成で標準価格231万円から。Windows Serverで運用しているファイルサービスで容量やパフォーマンス、管理の限界を感じているユーザー企業に売り込む。
同社は昨年夏、NAS機能を備えたストレージの最下位機種として「EMC Celerra NS20」を発表した。今回のCelerra NX4はその下の位置付けで、ミッドレンジクラスNAS市場の一番下のレベルを狙うという。
Celerra NX4はCLARiX AX4と同等のストレージシステムに、NASヘッド(ファイルサービス処理モジュール)の「X-Blade」を組み合わせた構成になっている。X-BladeはNS20と共通であるため、同等の性能を発揮するという。
X-BladeにはiSCSIポートが備わっているほか、オプションだがストレージシステム側でファイバチャネルによる外部接続も可能。この3種類の接続を同時並行的に利用できる。つまり、NASとしてだけではなく、ネットワーク接続のブロックストレージとしても使える。
ストレージシステムモジュールには最大12台のSASあるいはSATAディスクドライブを搭載できる。このため1GbytesのSATAドライブを利用すれば、最大12Tbytesの容量を実現可能。拡張ユニットを併用すると60台まで搭載できる。NASとしての最大実効容量は16Tbytes(X-Bladeの構成によっては32Tbytes)。
RAIDレベルはRAID1、RAID5、RAID6が利用できる。製品価格にはスナップショット機能「SnapSure」と管理ソフト「Celerra Manager Basic Edition」が付属。仮想プロビジョニング(シン・プロビジョニングと同義)機能も搭載しているため、あらかじめ大容量のストレージ領域を確保しておく必要はない。オプション提供のレプリケーション機能「Celerra Replicator」を使えば、比較的安価にディザスタ・リカバリ対応システムが組める。
国内のミッドレンジクラスNAS市場は、ネットアップが圧倒的なシェアを維持している。Celerra NX4はCelerra NS20とともに、この市場をEMCジャパンが攻略するに当たって重要な戦略的意味を持つという。EMCジャパンではNS20をネットアップの「FAS2050c」の競合製品として位置付けているが、NX4は「FAS2020c」にぶつけている。そして双方とも、製品価格に対するパフォーマンスおよび容量の点で、ネットアップの競合製品に優るとしている。
ただし、この市場におけるビジネスを伸ばすには、同時に間接販売の体制を確立する必要がある。同社は「Velocityパートナー」というパートナー販売制度の拡充に力を入れてきており、現在ではディストリビュータとして大塚商会、シーティーシー・エスピー、ソフトバンクBB、日鉄エレックス、ニューテック、ネットワールドが参加。同社は販売2次店パートナー向け販売支援プログラムの展開も進めている。新製品は、シーティーシー・エスピーと日鉄エレックスを除くこれらパートナー経由の販売が中心となる。
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