米Nexsan Technologies(ネクサン)は12月16日、同社の新ストレージ製品「SASBeast」の日本先行発売を発表した。高密度と省電力性能が特徴で、こうした点のニーズが高い日本市場を本格的に攻める。新製品の発売に伴い、Nexsanは日本市場に本格参入し、販売体制を拡充する。
SASBeastは4Uサイズに42個のSASハードディスクドライブを搭載できるファイバチャネル/iSCSIストレージシステム。450GBのSASドライブで構成すれば18.9TBを搭載可能。SATAドライブの混在もできる。また、JBODを接続できるポートを備えている。ホスト接続にはコントローラ当たり4Gbps FCポート×2、1Gbps iSCSIポート×2を搭載し、iSCSIとファイバチャネルは同時に利用できる。コントローラはアクティブ-アクティブのデュアル構成が可能。
「高い金を払わなくとも、高い信頼性とパフォーマンスを備えた製品を手に入れることができる」と、同社CEOのフィリップ・ブラック(Phillip Black)氏はいう。価格はシングルコントローラで300GB SASドライブ14本構成時で630万円(税別)、デュアルコントローラで300GB SASドライブ42本構成時で1319万円(同)となっている。コントローラのファームウェアを含めてすべて自社生産し、これをコスト低減につなげているという。
だが、SASBeastは価格の低さだけを売り物にした製品ではない。
例えば高密度実装のためにディスクドライブは上から下へ縦に差し込む構成としているが、このドライブ列の間にすき間を設け、シャーシの前後をファンで挟むことによって、逆にフロントローディング式のドライブ実装では得られない冷却効果を実現している。また、ドライブは2台ずつ背中合わせに配置して振動をキャンセルするようにし、寿命を伸ばす工夫をしている。
そして他社製品と比較した場合の最大の特徴といえるのが、「AutoMAID」と呼ぶ省電力機能。同社の全製品に搭載の機能で、アクセスのないディスクドライブの回転を制御するMAID(Massive Arrays of Inactive Disks)の一種。だが、ディスクドライブの停止だけにとどまらない制御を実現している。
AutoMAIDでは、次の3種類の設定が可能だ。
Level1:ヘッドの退避
Level2:ヘッドの退避+4000rpmへのディスクドライブ速度の減速
Level3:ディスクドライブの回転休止
Nexsanでは、通常の待機時に比べ、消費電力をLevel1では最大20%、Level2では最大40%、Level3では最大60%の削減できるとしている。AutoMAIDは2006年から同社が提供している機能で、このレベルのMAIDを実現したのは同社が初めてだとしている。
ブラック氏は、SASBeastを特にデジタルメディアや医療系、階層ストレージ構成の必要なアプリケーションなどに向けて推進していきたいという。
Nexsanの製品は現在、エヌ・シー・エル・コミュニケーションが販売している。今後代理店を4社程度に増やし、チャネルを整備していきたいという。
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