日本ヒューレット・パッカード(HP)は2月24日、メインフレームやSolarisなどほかのUNIXサーバから、同社のIA64サーバ「HP Integrity」へのシステム移行を支援する方針を発表した。既存システムをIntegrityサーバとHP-UXの組み合わせの上に統合することにより、「顧客の劇的なコスト削減を実現するための戦略」(同社エンタープライズストレージ・サーバ事業統括 BCSビジネス本部 本部長 上原宏氏)という。
これまでも同社は、他社のUNIXサーバやメインフレームからの移行推進策を提供してきたが、今回発表された戦略では、特にITコスト削減効果を顧客に訴える。
具体的には、移行推進のための専任チームを発足させるほか、アプリケーションのポーティングをはじめとする移行支援サービスを提供する。さらに「標準化や統合化、運用のシンプル化といった取り組みを組み合わせることで、2〜3年で30%のITコスト削減に寄与できる」(同社テクノロジー・サービス統括本部 インフラストラクチャ ソリューション本部 データセンター トランスフォーメーション ソリューション部 部長 内田恵氏)。
上原氏によると、これまで顧客はシステム統合のメリットを理解しながらも、ベンダへのロックインというリスクを拒否してきた。しかしリーマン・ショック以降はTCO削減が至上命題となり、そういったことをいう余裕もないほどだという。
そこで日本HPでは、個別に設計・運用されてきたマルチベンダ環境を、ブレードサーバの「HP BladeSystem」やHP Integrityサーバに集約し、さらに統合管理ツール「HP Insight Dynamics」を組み合わせて提供することにより、「統合に対する躊躇感をなくす」(上原氏)。これはメインフレームへの統合とは異なり、「ベンダ依存ではなく、可視化された状況の中で管理者がITをコントロールし、かつ経営課題として求められているコスト削減を実現できる」と述べた。
日本HPでは、今回発表した施策により、他社UNIXやメインフレームからの乗り換え推進を図る。一方で、x86サーバの拡張性が高まったことから、UNIXサーバからx86サーバへと乗り換える顧客もある。「その影響で、UNIXサーバの先細り感があることは否めないが、一方で、信頼性やスケールアップという要望を持つ顧客はなくならないと見ている」(上原氏)。
HP Integrityサーバへの移行推進策として、まず、改めて60人規模の専任チームを発足させる。また、特にSolarisからの移行に関するノウハウを集約した「Solaris Migration Center」を設置し、顧客向けの相談窓口とする。
内田氏によると、システム移行に際して顧客が頭を悩ませるのは、「どのくらい時間がかかるのか、スケジュールをどの程度正確に見積もれるのか」「新しいプラットフォームへのアプリケーションのポーティングは本当に可能なのか」といった不安だという。
こうした不安を解消するため、新たに「HP-UXプラットフォームへの移行支援サービス」を開始する。このサービスでは、事前の情報収集や移行計画策定に始まり、インフラ構築からアプリケーションの移行支援までを実施。特にアプリケーション移行に関しては、アプリケーションおよびそれが動作しているアプリケーションサーバのソースコードを預かって分析し、どういった変更を加えるべきかをレポートする。実際のコンパイル作業やテスト時のデバッグ支援などもメニューに含まれている。サービス料金は、ソースコードの大きさが50万行までの場合で、1アプリケーション当たり210万円から。
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