日本IBMは5月12日、POWERプロセッサ搭載サーバの新製品と広範な顧客・パートナー支援施策を明らかにした。
日本IBMパワーシステム事業部長の熊本義信氏は、同社が提唱する「Dynamic Infrastructure」(ダイナミック・インフラストラクチャ)というコンセプトを実現するには、「個々の製品がどうのというより、IBMの各部門が連携することが重要。(顧客にとっての)堅牢性、柔軟性、コスト抑制がAND条件で満たされる必要がある」と説明。これまで日本IBMは製品の機能ばかりをアピールし、顧客がどうアクションを起こせるかを十分に伝えきれていなかったと話す。
今年度のパワーシステム事業部は仮想化によるサーバ統合の推進、高性能製品による他社からの置き換えの促進、スムーズな導入・移行サービスを3本柱とするとともに、パートナーとの協業を促進し、特にAS/400の流れを汲むOSであるIBM iの認知度向上に向けた具体的な活動を進めていくという。
顧客に対する移行支援策としては、まず移行無償アセスメントサービスを提供する。これは個々の顧客の環境におけるコストや作業工数が不明確で、社内でこうした検討を行える人員がいないというユーザー企業を対象としたプログラム。日本IBMが無償で、ユーザー企業の現行システム構成や利用率、プラットフォーム依存アプリケーションのアセスメントを実施し、移行に要するハードウェアやミドルウェアのコスト、アプリケーション移行の改修に要する工数とともにレポートとして提出する。
また、日本IBMがSystem Xのために4月1日に開設した「System x仮想化検証センター」で、POWERプロセッサ搭載サーバとその仮想化技術「PowerVM」も対象とする。
導入では、年内15社をめどにAIXおよびLinux関連の特別販売パートナー制度を発足、高い割引率の適用や専用相談窓口の設置などを行う。
さらに日本IBMは今回、同社のリースプログラムの大幅な強化を発表したという、他社UNIXサーバからの下取り乗り換えリースで値引きを行う「Power Reward」プログラムで、引き取り換算額を従来の2〜4倍に引き上げた。これにより、例えば他社サーバ4台をpower 570 1台に統合した場合、約640万円の値引きとなるケースもあるという。
IT支出の抑制圧力が厳しいユーザー企業に対しては、当座の負担を抑えられる新たなリースプログラムを用意。「Fast 10リースファイナンシング」では、5年リースにおける当初1年間の支払いが全コストの10%で済む。また、「半期据置キャンペーン」では、当初6カ月の支払いを不要としている。
新製品はサーバブレードの「IBM BladeCenter JS23」と「IBM BladeCenter JS43」。JS43はJS23に、同一スペックの拡張モジュールを専用コネクタで接続し、2スロット分を単一のサーバモジュールとして利用できるようにしたものだ。これら2製品は、 POWER 6プロセッサの動作周波数をアップしたPOWER 6+ 4.2GHzを搭載。JS23はデュアルプロセッサ構成で、メモリは従来製品のJS22に比べて2倍の64GBを搭載できる。
POWERプロセッサ搭載システムで利用できる仮想化機能「PowerVM」も同時に強化された。PowerVMでは論理パーティションに対し、CPUパワー配分を完全に動的に割り当てられるようになっている。0.01 CPUの単位で、各論理パーティションのCPUパワー・ニーズに応じ、PowerVMが自動で配分を変更する。今回発表したのは、これと同じメカニズムをメモリ割り当てに適用する機能。各論理パーティションのメモリ量を管理者が手動で変更する代わりに、PowerVMが自動で変更するような運用が可能。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.