前ページまでの解説で、CygwinによるXサーバの構築という目的は達成された。ここまででも十分なのだが、せっかくなのでもう少しCygwinで遊んでみよう。
Xサーバとして利用するなら、ウィンドウマネージャはデフォルトのtwmでもよいのだが、少々さびしいのも事実だ。そこで、ウィンドウマネージャの変更に挑戦してみたい。前ページでGNOMEの画面があるが、これはLinux上で動いているものをWindows 2000の画面に表示させているに過ぎない。これから紹介するのは、Windows 2000上で直接ウィンドウマネージャを動かす方法なのだ。
カスタマイズ性と軽快な動作で人気のウィンドウマネージャがBlackbox(http://blackbox.alug.org/)だ。まずはこれをCygwin/XFree86で動かしてみる。Blackboxは、Cygwin/XFree86用のバイナリが用意されている。これをダウンロードして所定のディレクトリに配置するれば動くので非常に手軽だ。
バイナリはhttp://cygwin.com/mirrors.htmlからたどれるいずれかのミラーサイトの/xfree/contrib/にある。こにあるblackbox-0.51.3.1-bin.tar.bz2をダウンロードしよう。ダウンロードしたらCygwinを起動して、ファイルを適当なディレクトリ(例では/tmp)に移動。これを以下のコマンドで展開する。
$ bzip2 -dc blackbox-0.51.3.1-bin.tar.bz2
| tar xvf - |
これだけでファイルがそれぞれのディレクトリに配置される。つまりインストール完了だ。後はBlackboxをウィンドウマネージャに指定するだけである。
startxでXを起動しているなら、ホームディレクトリの.xinitrcを編集する。
twm & |
という行を探し、ここを
blackbox & |
にすればよい。.xinitrcを修正したらstartxしてみよう。
ウィンドウマネージャにWindow Makerを使っている人も多いだろう。Windows 2000でも、Cygwin/XFree86を使えばWindow Makerが動いてしまうのだ。
とはいえ、Cygwin用のバイナリは用意されていない。ではどうするかというと、オリジナルのソースをWindows 2000上でコンパイルするのだ。つまり、Window Maker自体はLinuxなどで動作するものと同一ということである。
まず、Window Makerのソースをhttp://www.windowmaker.org/からダウンロードする。ここでダウンロードすべきは
の2ファイルだ。2001年8月現在、Window Makerの最新版は0.65.1なのだが、このバージョンではmakeに失敗してしまう。今回は時間の関係で原因を追求できなかったため、makeがそのまま通った0.65.0を使うことにした。
ダウンロードしたファイルは例によってCygwinの/tmpに移動して展開する。
ではインストールだ。まずlibPropListから行う。
$ tar xzvf libPropList-latest.tar.gz |
で展開したら、生成されたlibPropList-0.10.1ディレクトリに移動する。ここで
$ ./configure |
を実行すればlibPropListのインストールは完了だ。
続いてWindow Maker本体をインストールする。これも
$ tar xzvf WindowMaker-0.65.0.tar.gz |
でアーカイブを展開し、WindowMaker-0.65.0ディレクトリに移動する。そして、こちらも同じく
$ ./configure |
を実行すればよい。パッチなどは不要だ。
次に、環境設定用スクリプトのwmaker.instを実行する。これは/usr/loca/binにある。
$ cd /usr/loca/bin |
最後に.xinitrcを書き換える。「twm &」あるいは「blackbox &」となっている行を
exec wmaker |
に変更しよう。これでWindow Makerの準備は完了だ。startxすればWindow Makerが起動する。
これ以外にも、Cygwin用KDEの開発プロジェクトなどもある(http://sourceforge.net/projects/kde-cygwin/)。ここまでくると、Cygwinではなく本物のLinuxを使った方がよいのではないかという気もするが、興味のある人は挑戦してみるのも面白いだろう。
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