第2回 WSSのインストールとSharePointサイト・ツアーSharePointアーキテクチャ入門(3/5 ページ)

» 2004年06月17日 00時00分 公開
[海津智宏]

インストール作業を開始する

 それではWSSのインストールを開始しよう。インストールはウィザードに従って作業を進めるだけなので、特に難しいことはない。以下は注意すべき点だけをいくつか説明する。なお、インストール作業は、ローカルの管理者権限を持ったユーザーで実行する必要がある。

■「サーバーの役割」の確認

 最初は、Windows Server 2003で有効化されている役割を確認し、必要な役割が無効になっているようなら有効化する。セキュリティを高めるため、Windows Server 2003では、さまざまなサービスがデフォルトで無効化されている。WSSを利用するには、あらかじめサーバの役割として「アプリケーション サーバー」を追加し、IISとASP.NETを利用可能にしておく必要がある(関連記事)。また、メールによる通知機能を利用する場合は、「メール サーバー」機能に含まれる「SMTPサービス」も追加しておく。これにより、例えばコンテンツが更新されたことをユーザーにメールで知らせることなどが可能になる(WSS側のメール送信機能設定については次回に述べる予定)。

 現在の構成を確認するには、Windows Server 2003の[サーバーの役割管理]ツールで[役割を追加または削除する]をクリックして表示される[サーバーの役割]一覧を確認する。

サーバの役割の確認
WSSを利用するには、Windows Server 2003のサーバの役割のうち[アプリケーション サーバー(IIS、ASP.NET)]を有効化しておく必要がある。デフォルトでは有効化されていない。
 (1)これが「はい」になっていないとWSSは使えない。「いいえ」の場合はこの項目を選択したまま下の[次へ]をクリックし、役割を追加する。

 一覧の[アプリケーション サーバー(IIS、ASP.NET)]が「いいえ」になっている場合は、その項目を選択したまま下の[次へ]ボタンをクリックして役割を追加する。なお役割追加の過程でWindows Server 2003のインストールCDが要求されるので手元に準備しておくこと。

■WSSのインストール
 WSSのインストールは、ダウロードした実行ファイル(STSV2.EXE)を実行し、開始されるウィザードの指示に従えばよい。最初に「インストールの種類」が問い合わせられるが、単体のWSSサーバを付属のMSDEでイントールするなら[標準インストール]を選択すればよい。MSDEではなく最初からSQL Server 2000を使用する場合や、複数のWebサーバからなるサーバ・ファームを構築する場合などは[サーバー ファーム構成]の方を選択する。ここではデフォルトの[標準インストール]を選択する。

インストールの種類
サーバ構成の違い、データベース・システムの違いから、2種類のインストール方法を選択する。
 (1)単一のWebサーバで、WSS同梱のMSDEをデータベース・システムに使う場合はこちらを選択する。
 (2)MSDEではなく最初からSQL Server 2000を指定する場合、複数のWebサーバでファームを構成する場合などはこちらを選択する。

 インストールの種類を選択したら、下の[完了]ボタンをクリックするとインストールが開始される。すると自動的にMSDEとWSSがインストールされ、http://localhost/(自分自身が提供するWebサーバのルート)に標準の「チームWebサイト」が作成される。

■GroupBoardのインストール
 次にGroupBoardをインストールする。評価版では、ダウンロードした実行ファイルを実行するとインストーラ・パッケージが展開されるので、展開されたファイルからインストーラ(sgs.msi)を実行する。

 こちらは特に選択すべき項目はない。インストールが完了すると、http://localhost/gb/に新しいGroupBoardが追加される。

GroupBoardのホームページ
GroupBoardのインストールが完了すると、http://localhost/gb/にGroupBoardワークスペースが追加される。

 このようにWSSをインストールすると、TCPの80番ポートのWebサイト(WWWサーバのデフォルト・ポート)がWSS専用となる。同一のポートを使ってWSS(やGroupBoard)とは別のサイトを提供したり、別のWebアプリケーションを提供したりしたければ、WSSの管理画面で仮想サーバを設定する。この詳細については、次回で管理ツールを解説するときに説明することにしよう。

 以上でWSSとGroupBoardのインストールは完了である。ユーザー管理やメール・サーバの設定などはまだだが、取りあえずはインストールしたWSS/GroupBoardサイトにアクセスできるようになったはずだ。

MSDEからSQL Server 2000への移行

 WSSにデータを追加し始める前に、MSDEからSQL Server 2000へのアップグレードについて簡単に触れておこう。

 最初に述べたとおり、検索機能が使えないことと、データサイズ制限があることを除けば、MSDEでも特に問題なくWSSを使ってデータを保存できる。MSDEで利用を開始して、途中からSQL Server 2000に移行する場合でも、それまでMSDEで作成したデータを持ち越すことができる。これにはSQL Server 2000付属の管理ツールであるEnterprise Managerで、MSDEからSQL Server 2000に「データのインポート」を実行すればよい。今回は、この方法でWSSからSQL Server 2000に移行した環境を使った。

 なお、Windows Server 2003で利用可能な、SQL Server 2000はSP3以降とされている。このためSP適用以前のSQL Server 2000インストールCDからインストールすると、途中でバージョン不整合の警告が表示される。しかしこの警告は無視してインストールを続行し、インストール後にSQL Server 2000 SP3を適用すれば問題はない。

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