VS.NETにより自動作成されるWindowsアプリケーションのひな形コード。これをマスターして、本格的なVS.NET開発に乗り出そう。
前回は、Visual Studio .NET(以降、VS.NET)の画面内容と、プロジェクトの構成内容について解説した。引き続き今回は、第1回のプロジェクトの新規作成で生成されたWindowsアプリケーションのひな形コードの内容について解説しよう。
ひな形コードのソース・ファイル(C#)は次のリンクからダウンロードできる。
.NETの標準開発言語であるC#やVisual Basic .NET(以降、VB.NET)は、「オブジェクト指向言語」と呼ばれる。
オブジェクト指向言語のベースとなっている「オブジェクト指向」とは、現実世界を模倣して構築された世界観(=物事の見方や捉え方、考え方)のことである。例えば現実世界のショッピングでは、「お客が店員にお金を渡して商品を受け取る」ということが行われるが、この行為の世界観では、「お客」「店員」「お金」「商品」といった<人物>や<物体>(=オブジェクト)が分かれて存在し、それらが「渡す」「受け取る」といった<やり取り>を行うことで、1つの行為(=世界)が成立する。
つまりオブジェクト指向とは、分かれて存在する<オブジェクト>同士が<やり取り>を行うことで、何らかの行為が実現するという世界観を、プログラミングの世界に持ち込むことを指向する(=目指す)ことである。そして実際に、このオブジェクト指向の世界観を言語仕様に取り込んだものが、オブジェクト指向言語である(具体的なオブジェクト指向言語の内容については、「オブジェクト指向プログラミング超入門」をぜひ一読してほしい)。
よって、C#言語で生成されたひな形のソース・コードを正しく理解するには、このオブジェクト指向の世界観を身に付けておく必要がある。そこで本稿では、C#やVB.NETのオブジェクト指向の世界観を示しながら、ひな形コードの解説を行っていく。
オブジェクト指向の世界観を身に付ける最初のポイントは、C#やVB.NETのオブジェクト指向の世界が次の2つの要素で成り立っていることを意識することだ。
1.オブジェクト(=実体)
2.オブジェクトを整理・分類するための境界線
「オブジェクト」指向と呼ぶくらいなので、すべてをオブジェクトのみで構成すればいいように思うかもしれないが、実際にはそのオブジェクトを整理・分類するための要素が必要である。
この理由は現実世界を考えると分かりやすい。例えば「○○ソフト会社の一色(いっしき)です」といえば、「一色」という人物(=オブジェクト)が「○○ソフト会社」という組織(=オブジェクトを分類するための境界線)の中に所属していることが分かるので、ソフトウェア開発をする人だとすぐに察しが付く。しかし「一色です」だけでは、「△△印刷会社の一色」なのか、「□□鮮魚店の一色」なのか分からず、応対に困ってしまうだろう。
プログラミング(C#)の世界では、「オブジェクト」は「クラス(class)」として、「オブジェクトを分類するための境界線」は「名前空間(namespace)」として、それぞれ定義されている。よって、ひな形コードの内容を理解するためには、そのソース・コードが「クラス」と「名前空間」で成り立っていることをまず意識しなければならない。
それでは、実際にひな形のソース・コードを参照して「名前空間」と「クラス」を確かめてみよう。
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