ここからは、導入・構築・運用に際してどういったアーキテクチャ的な違いがあるかを解説します。まずデータベース導入時に検討しなければならない項目として、プラットフォームとなるハードウェアと既存のシステムからの移行のそれぞれを取り上げます。
ご存じのとおりOracleはマルチプラットフォームですが、SQL ServerはWindows環境においてのみ稼働します。OracleをUNIX上で運用されていた方の中にはWindowsアーキテクチャに慣れていない方もいらっしゃるかと思いますが、SQL Serverを扱うにはWindows Serverの知識が欠かせません。例えばOracleはメモリキャッシュのヒット率を調べる際に「動的パフォーマンスビュー(V$)」を利用しますが、SQL ServerではWindowsの「システムモニター」を利用して調べることになります(図3)。
また、導入時に欠かせない既存システムからの移行については、両者ともに製品にバンドルされた形で移行ツールを備えています。ここではデータベース本体のアーキテクチャからは多少話が離れますが、両者の移行ツールの特徴について少し触れたいと思います(図4)。
Oracleは移行ツールとして「Oracle Migration Workbench」を備えています。Oracle Migration WorkbenchはSQL Server、Infomixからの移行に限りストアドプロシージャや、トリガまでも移行することが可能です(ストアドプロシージャ、トリガなどは解析され、PL/SQLまたはOracle Pro*Cに変換されます)。
SQL Serverにはこれに代わるものとして「DTS(Data Transformation Services)」があります。DTSはOLE DB、ODBCといった技術を使用してほかのデータベースからSQL Serverにデータを移行できます。DTSの特徴はOracle Migration Workbenchとは異なり、移行中のデータモデルの変更をサポートしているところです。移行先においてテーブル定義を変更したい場合においても、ツールを使用して簡単に変更することが可能です(ただし、DTSはSQL Server以外からストアドプロシージャ、トリガをデータベースの違いを超えて移行することは不可能です)。
次ページでは、構築フェイズ、運用フェイズにおける両者の違いについて解説していきます。
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