この連載では、100人くらいのユーザーのいる小規模ネットワークに起こるさまざまなト ラブルを、ネットワークツールを用いて解決していきます。主人公は、社内の管理者兼プログラマーの律子さん。前回のトラブル・シューティングの模様は第1回「LANから外に出られない」、第2回「どうして課長だけプリントできない」、第3回「ネットワークに同じIPアドレスが2つある?」、第4回メールが受信できない!?」をご参照ください。
念願かなってDHCPサーバを導入することができた(ネットワークに同じIPアドレスが2つある?の回を参照)律子さんですが、ルータも新しくなって、フィルタリングの設定も新しくなりました。とりあえず、セキュリティには気を使ってDNSとWebサーバ以外への外部からのアクセスをはじくようにして、しばらくは問題は発生していないようでしたが……。
相変わらず、律子さんはネットワークの管理に追われて落ち着くヒマもありません。今日も早速長期出張先から戻ってきたばかりの先輩が妙にニコニコしながらやって来ます。おみやげでももらえるのかと相変わらず淡い期待を抱くのですが、あいさつする間もなく質問です。
「ファイルがアップロードできないんだけど、どうにかならないかしら」
「どこにですか?」
「出張先のサーバなんだけど、サーバにこっちで作り込んだソースをアップロードしたいのよね」
「えっ、なんででしょう。相手に嫌われてるんじゃないんですか?」
一瞬本気でにらまれたような気がしましたが、気のせいだったようで、先輩は何事もなかったかのように笑みを浮かべながら話し続けます。
「一応、接続はできてるみたいなんだけど、ファイルが送れないのよ。早めに送って確認しないといけないのに」
「はあ、そうっすか」
律子さんが考え込んで動かずにいると、机の辺りをけ飛ばすような音が聞こえたような気がしました。先輩は笑っているのですが、相当イライラしているようです。怖くなった律子さんは、慌てて解決を図ってみることにします。
もう一度彼女にFTPクライアントを使って接続してもらいましたが、一応接続はできているようです。しかし、どこかで止まってしまっています。
早速コマンドプロンプトを立ち上げて、いつもどおりpingを打ってみますが、普通にpingも通ります。
ああ、また不思議な出来事だ。何をすればいいのでしょう。コマンドプロンプトを目の前に律子さんは固まってしまいました。先輩はニコニコしながらも心なしか目つきが悪くなってきました。非常に気まずい雰囲気です。
そうはいっても簡単に解決法が浮かぶどころか、焦れば焦るほど泥沼にはまっていくのが律子さんです。先輩の視線を感じながら適当にコマンドなんかを打ち込んでみますが、何の解決にもなりません。
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