時間稼ぎに自分の席に戻り、ネットワークの設定などが書かれたファイルを取り出してみると、メモが挟まれています。
「ftpコマンドを使ってはいかが?」
ああ、コマンドラインでftpコマンドを使えば、障害の場所が突き止められるか。早速律子さんはコマンドプロンプトからftpコマンドを使ってみることにします。
ftp実行結果
C:\>ftp ftp.example.co.jp Connected to 210.168.0.17. 220 example.org FTP server (Version 6.00LS) ready. User (210.168.0.17:(none)):project 331 Password required for project. Password:
pingと同様に簡単に接続できました。
さて、ディレクトリの位置でも確認しようかな。
ftp>pwd 257 "/" is the current directory.
えっと、ここにファイルがあるのかな。
ftp>ls
あれっ、コマンドが受け付けられていないようです。
何度やっても同じところで止まってしまいます。
えっ、何で……。
律子さんは訳が分からずパニックです。相変わらず自分の手に負えないことにぶつかると、頭が真っ白になってしまいます。先輩は机で指をカチカチと鳴らしています。ちらりと先輩を見てみると、いよいよ目は笑っていません。
焦る頭で律子さんはFTPにはモードが2つあることを思い出しました。デフォルトでは確かアクティブモードで接続されているんだっけ。
そこで、パッシブモードで接続してみようと思いますが、Windowsのftpコマンドではパッシブモードになりません(*1)。仕方ないので先輩の使っているクライアントでパッシブモードで接続してみますが、相変わらずダメみたいです。
(*1)Windowsのftp.exeではパッシブモードはサポートされていないようです。Linuxならパッシブモードで接続することが可能です。
さて、どうしたものでしょう。パッシブモードでもアクティブモードでもうまくデータのやり取りができないのは分かりましたが、原因は分からないままです。
イライラして顔が赤くなっている先輩の目をごまかすように自分の席に戻ると、PC上にメモ帳が開かれて、そこに文字が書かれています。
「telnetでアクセスしてはいかが?」
ああ、そうだった。FTPにはtelnetでもアクセスできるのだった。そこで、telnetでFTPサーバにログインして、パッシブモードでアクセスしてみることにします。FTPのポートは21です。
telnetでFTPサーバにアクセスした実行結果
C:\telnet example.co.jp 21 220 ProFTPD USER hogehoge 331 Password required for bogus. PASS ******* 230 User hogehoge logged in. pwd 257 "/" is current directory. PASV 227 Entering Passive Mode (219,163,200,95,159,59).
ここでパッシブモードのポート番号が表示されるので計算することにします。計算方法は右から2番目の数字に256を掛けて、それに一番右の数字を足すだけです。ここでは159*256+59=40763となるので、ポート40763です。
C:\telnet example.co.jp 40763
もう1つ別のコマンドプロンプトを立ち上げて、こちらからアクセスしてみますが、つながりません。ああ、もうなんで? 律子さんは泣きそうです。
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