この連載では、100人くらいのユーザーのいる小規模ネットワークに起こるさまざまなト ラブルを、ネットワークツールを用いて解決していきます。主人公は、社内の管理者兼プログラマーの律子さん。前回のトラブル・シューティングの模様は第1回「LANから外に出られない」、第2回「どうして課長だけプリントできない」、第3回「ネットワークに同じIPアドレスが2つある?」、第4回メールが受信できない!?」 、第5回「ファイルがアップロードできない?」 をご参照ください。
ある月曜日の朝、出社してメールチェックをしていると、出張から戻ってきた先輩が声を掛けてきました。今日こそお土産でももらえるのかもと、ちょっと期待しつつ返事してみましたが、どうやらそういうことではないようです。
「しばらく出張に出てて、戻ってきたら私のマシン、ネットにつながんないんだけど、何とかしてくんない?」
と、またまたトラブルが発生した模様です。
「え……。はい、なんとかします」
律子さんも急ぎの案件があるのですが、そこは管理者ですので、すぐになんとかしなければいけません。ともかく先輩のマシンに行ってみます。
確かに先輩のいうとおり、先輩のマシンからはネットワークにはつながっていないようで、メールもWebも見ることができず、これは困ったことです。
律子さんのマシンからはインターネットにはつながるようなので、ルータより向こう側にはトラブルがないと律子さんは考えましたが、それ以上は何も考えられません。
「取引先からメールも来てるはずだし、メールが見られないと仕事になんないんだよね。管理者さんなんでしょ? なんとかしてくださいよ」
「は、はい」
先輩の一言で律子さんは余計に頭が混乱して何も浮かんできません。額に浮かんでくるのは冷や汗だけです。
オロオロしていると、ふと誰かに肩をたたかれたような気がしました。慌てて振り向くと、そこにあるディスプレイに付せんが張り付けられています。
「ケーブルの具合はどうですか?」
あ、そうか、ケーブルが外れているのかも。そう思った律子さんはケーブルを確認してみましたが、コネクタからケーブルが外れている様子もLEDが消えている様子もなく、物理層の問題ではなさそうです。
また、先輩のマシンとちゃんとネットワークにつながっている律子さんのマシンは同じスイッチにつながっているので、少なくともスイッチより手前で障害が発生しているのは間違いないということも分かります。
そこまでは分かったので、次は先輩のマシンの設定を確認していくことにしましたが、何から手を付けたらいいのか分かりません。
取りあえず、律子さんはコマンドプロンプトを立ち上げて、ルータに向けてPingを打ってみることにしました。相変わらず律子さんは困ったときにはPingを打ってしまうのです。
コマンドプロンプトからルータに向けてPingを打ってみるが……
C:\Documents and Settings\kaori>ping 192.168.0.1Pinging 192.168.0.1 with 32 bytes of data: Request timed out. Request timed out. Request timed out. Request timed out. Ping statistics for 192.168.0.1: Packets: Sent = 4, Received = 0, Lost = 4 (100% loss),
もちろん、駄目です。
ああ、何をすればいいんだろう、律子さんが頭を抱えていると、携帯の着信音が鳴り響きます。誰かからメールが来たようです。
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