それを読んで、律子さんは先週マシンのリプレイスをしたことを思い出しました(図1)。どうやら、DHCPサーバのリース期間が長過ぎたため、DHCPサーバからクライアントに貸し出せるIPアドレスがなかったのが原因だったようです。(DHCPサーバ導入までのいきさつは、連載第3回
「ネットワークに同じIPアドレスが2つある?」を参照)
まあ、どうすればいいんでしょう。しばらくじっと考えていると、律子さんの頭に神が舞い降りてきました。
IPアドレスが足りないなら、返せばいいのね。
慌てて自分のマシンに戻ると、自分のIPアドレスをDHCPサーバに返却することにしてみました。使うコマンドはまたipconfig、今度のオプションは「/release」です。
ipconfig/releaseで律子さんのIPアドレスを返却
C:\Documents and Settings\ritsuk>ipconfig /release Windows IP Configuration Ethernet adapter ローカル エリア接続: Connection-specific DNS Suffix . : IP Address. . . . . . . . . . . . : 0.0.0.0 Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 0.0.0.0 Default Gateway . . . . . . . . . :
そして先輩のマシンに戻り、再びIPアドレスを取得することにします。
再びipconfig/renewでIPアドレスを再取得
C:\Documents and Settings\kaori>ipconfig /renew Windows IP Configuration Host Name . . . . . . . . . . . . : kaori Primary DNS Suffix . . . . . . . : Node Type . . . . . . . . . . . . : Broadcast IP Routing Enabled. . . . . . . . : No WINS Proxy Enabled. . . . . . . . : No Ethernet adapter ローカル エリア接続: Connection-specific DNS Suffix . : Description . . . . . . . . . . . : Intel(R) PRO/100 VE Network Connecti on Physical Address. . . . . . . . . : 00-0C-6E-89-CD-B7 Dhcp Enabled. . . . . . . . . . . : Yes Autoconfiguration Enabled . . . . : Yes IP Address. . . . . . . . . . . . : 192.168.0.72 Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.255.0 Default Gateway . . . . . . . . . : 192.168.0.1 DHCP Server . . . . . . . . . . . : 192.168.0.1 DNS Servers . . . . . . . . . . . : 192.168.0.1 61.207.9.4 61.207.9.36 Lease Obtained. . . . . . . . . . : 2004年10月21日 17:06:38 Lease Expires . . . . . . . . . . : 2004年10月24日 17:06:38
「やったわ」
すると、めでたいことにIPアドレスが取得できました。これで先輩は業務に復帰できました。
でも、私のIPアドレスはないじゃないの。しかも、律子さんだけでなく、ほかにも割り当てできない可能性があります。
ああ、今日は終電に乗れるかしら。そんなことを思いながら、部屋の片隅に放置されている処分前の旧クライアントを立ち上げて、1台ずつ手動でIPアドレスを返却していくことにした律子さんでした。
ほかのマシンは正常にネットワークにアクセスできているにもかかわらず、そのマシンだけがネットワークに参加できない場合、まず原因として考えられるのはマシン側のトラブルでしょう。ケーブルが外れている、断線している、といった物理層の問題やNICのドライバやIPアドレスの設定などの問題ということも考えられます。
今回は、それらとは違い、DHCPのリース期間のせいでIPアドレスが割り当てられなかったという、マシンを一斉にリプレイスした場合などに起こり得るケースを取り上げてみました。
リプレイスするマシンの数が多くて、リプレイス前のマシンの数と合わせると、DHCPサーバが割り当て可能なIPアドレスの数を超えてしまうことがあります。その場合、DHCPサーバのリース期間が長いと、リプレイス前に割り当てられたIPアドレスが戻ってこずに、新マシンのうち数台だけしかIPアドレスの取得ができない、という不思議な現象が起こってきます。
悩んでいるうちに時間が解決してくれることが多いのですが、こういうこともあるのだと知っておくことも大切だと思います。(著者)
この連載は@IT Master of IP Networkフォーラムの会議室のやりとりを参考にしています。
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