帰宅後、「うちの会社のソースコードが流出してるみたいなんだけど」と告げる電話が! USBメモリでのコピーデータ持ち出しを禁止することに……。
PtoPアプリケーションを起動できないようにした律子さんの会社では、会社で自由にネットで遊べない雰囲気になってきたせいか、ダラダラと会社で過ごす人がこれまでより心なしか減っているようです。
みんなの効率が急に上がったのかと思ったのですが、どうやらそうではなく、会社のデータを持ち帰って、家でネットで遊びつつ仕事をしているようです。
困ったことですが、規制をするようになったので仕方ないかと偉い人たちにも黙認されています。ですが、やはり、というべきでしょうか、悲しいことに問題が発生してしまいました。
ある日のこと、仕事を終えた律子さんが家で1人魚肉ソーセージをかじりながらカップ酒を飲んでいると、電話がかかってきました。同僚の陽一さんです。何でこんな時間に電話なんか、もしかして夕食でもご一緒に……かもしれない、と思いましたが、すでにいい感じの酔っぱらいです。これはまずいことになってきました。
陽一 「律子さん、ちょっといいかなあ」
律子 「ええ」
陽一 「うちの会社のソースコードが流出してるみたいなんだけど」
律子 「えっ、何で?」
陽一 「いや……、家でWinny使ってたんだけど、たまたま流出したファイルを見ていたら、うちの会社の名前があって」
律子さんの予想は外れて、別の意味でまずいことになっているようです。いっぺんに酔いもさめてしまいましたが、自分では何の対処もできません。何も手段がないのがPtoPで流出してしまったときのつらいところです。
ただ、幸いにも、自社開発のアプリのごく一部だったので、公になることも取引先に迷惑を掛けることもないようです。しょうがないのでその日は部長に連絡を取っただけで、明日対応することにしました。
次の日の朝、流出したソースコードに関係しているプロジェクトにかかわっている人たちを呼び集めて聞き取り調査です。
律子 「怒らないから、心当たりがある人は申し出てください」
しばらくすると数人から、もしかして自分かもしれない、と秘密の告白がありました。何で複数からなんでしょうか……。律子さんは少しあきれてしまいましたが、少し調べると流出させた人はすぐに分かりました。
流出者に自宅マシンのウイルス駆除やプログラムの削除をしてもらい、そして、始末書などを書いてもらって情報流出事件は一段落しました。ようやく一息ついたころ、律子さんは部長に呼ばれます。自分は直接関係ないのになぜ上司に怒られるのでしょうか。ネットワーク担当はつらいものです。
部長 「律子さん、今回の情報漏えいの件だけど、うちの会社も世間に負けずに流行に乗っ……って、いいわけないやろ!」
律子 「と申されましても」
部長 「でもさあ 何が原因だと思う?」
律子 「最近USBメモリにデータをコピーして、持ち帰って仕事をしている人が多いからじゃないですか」
部長 「そっか、取りあえずUSBメモリにデータをコピーさせないようにして! じゃ」
律子 「え、は、はい」
押しに弱いのが弱点の律子さんが、迫力に負けてついハイといってしまうと、部長は風のように立ち去っていきました。
1人ぼうぜんと立ち尽くしながら、これってネットワークとあまり関係ないんじゃないの、と思いましたが、やるといってしまった以上後には引けません。しかも、そんなことができるのかどうか律子さんにはちっとも想像がつきません。
ああ、どうしよう。1人で考えても良いアイデアが浮かばないので、仕事中の拓司君に話をしにいきます。拓司君も仕事に煮詰まっているようで、いつしかダラダラと雑談になっていきます。
拓司 「最近出張先なんかでデータを送りたいときにネットカフェに行くんだけど、USBメモリが使えないところがあって困るんだよね」
律子 「何で?」
拓司 「ツールか何かで制限してるんじゃないのかなあ」
律子 「USBが全部使えなくなると大変じゃない?」
拓司 「でも、キーボードとかマウスとかは使えるんだよね、不思議だね」
律子 「そんなことができるの!?」
拓司 「俺は分かんないけど、会社の中に詳しい人がいるから聞いてみれば?」
というわけで、社内のWindowsに詳しそうなプログラマ数人にそれとなく聞いたりして調べてみると、USBストレージだけを使えなくすることが可能なようで、それに関するツールもいろいろとあるようです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.