「IEEE 802.11」の「IEEE」(アイ・トリプルイー)は、米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronic Engineers)の略です。IEEEはニューヨークに本部があり、電子や電気関連の学会で、標準化技術の策定や学会の開催などを行っています。
IEEEが策定した技術には「IEEE ほにゃらら」、というようにIEEE+数字の形で表されます。有名なものとしては、パソコンと周辺機器を接続する規格「IEEE 1394」(これはソニーのi.LINKやアップルのFireWireの方が通りがいいかもしれませんね)、イーサネットの規格である「IEEE 802.3」、プリンタ用の接続に使われるパラレルポートは「IEEE 1284」など、実は「IEEE ほにゃらら」という規格は身の回りにたくさんあるのです。
そのIEEEによる無線LANの規格、それが「IEEE 802.11」なのです。このIEEE 802.11はいくつかの種類があり、IEEE 802.11の後ろに小文字のアルファベットを付けて区別しているのです。
では、IEEEの後ろにくっついている「802」という数字は何でしょうか? IEEEの中にはいろいろな規格策定委員会があるのですが、LAN関係の規格は「IEEE 802委員会」が担当しており、1から20のグループに分かれています。そしてグループ番号「11」が無線LANを担当しているので、無線LANのことを「IEEE 802.11」というのです。
一方Wi-Fi(ワイファイ)は業界団体が名付けた「ブランド名」です。
無線LANの規格「IEEE 802.11」としてしっかりと決まっていても、メーカーによって規格の解釈が違ったり、チップが違うことで接続ができなくなる可能性があります。つまり「IEEE 802.11a対応」とアピールしているA社とB社の製品でも、実は相互に接続ができない! といった可能性があり、これでは消費者が混乱してしまいます。
そこで、通信・PCメーカーなどが「WECA」(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)という業界団体を作り(現在は「Wi-Fi Alliance」という団体名に変更)、メーカーが違う無線LAN製品であっても、相互にきちんと接続できるか? というチェックができる仕組みを作りました。この接続テストに合格したものには、「違うメーカー間でも接続できるよ! ちゃんとした無線LAN製品です!」という印として「Wi-Fi」(Wireless Fidelity)というシールが張られました。
IEEE 802.11もWi-Fiも無線LANを指す言葉ですが、本質的な部分では異なるのですね。
それでは、次にIEEE 802.11の種類について、チェックしてみましょう。
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