さて、2008年1発目のいまさら聞けないシリーズが取り上げる用語は「ActiveX(アクティブ・エックス)」です。何だかかっこいい響きですね。(よく似た用語で「DirectX」というのがありますが、これはメディア関連API群で、ActiveXとは関係ありません)。しかし、「ActiveX」という単語はよく見ますが、一体何者なのか? どんな働きをしているのか? 知らない人も多いと思います。
この連載の第6回で「リッチクライアント」をテーマに取り上げました。手軽な操作性と高機能を実現する「リッチクライアント」。このリッチクライアントを構成するうえでもActiveXは重要な役割を果たしているのです。では、早速ActiveXについて見てみましょう。
一体どんな技術か気になるActiveXですが、実はActiveXは、特定の技術や製品を指す言葉ではないのです。
では、何を意味する言葉なのかといえば、Microsoft社が開発したプログラミング技術群の総称なのです。なので、もしかしたらプログラマー、サーバ管理者、Webデザイナーが「ActiveX」といったとしても、それぞれ違うものを意味する可能性があります。まったくややっこしいですね。
はっきりとした定義は決まっていないのですが、一般的にActiveXは以下の技術群の総称とされています。
これ以外にもいろいろとあるのですが、代表的なものをピックアップしました。これからそれぞれの技術について簡単に解説してみましょう。
「ActiveX」というときは、大抵はこの「ActiveX Control」を指す場合が多く、ActiveXの中で一番の人気を誇る(!?)技術です。ActiveX Controlは、アプリケーションに組み込んで使うソフトウェアの部品「OLE control」と呼ばれる技術に、Web技術の拡張性を加えて生み出されたものです。
インターネットやイントラネットからActiveX Controlをダウンロードし、Internet Explorer(以下、IE)に組み込んで利用します。Webブラウザ上で動画や音楽の再生、3Dの表示、Windows Updateや、オンライン・ウイルススキャンなど、いろいろな場面で活躍しています。
ActiveX Controlについては、この後も解説するので、お楽しみに!
IEを通してWebブラウザ内でExcelやWordといった文章が編集できる機能です。実はこれとても便利な技術で、サーバサイドにあるドキュメント編集に威力を発揮します。
例えば、サーバにあるExcelで作成された業務日報を編集するときに、ActiveX Documentを使わなければ、次のような手順で編集を行います。
このように、ファイルの編集をするたびにファイルをダウン/アップロードしなければなりません。しかし、ActiveX Documentを使えば、以下のようなステップでサーバ・サイドにあるデータは更新されます。
ファイルのアップ・ダウンロードの手間がいらず、サーバ・クライアントを意識せずに作業ができるといった利点があります。
JScriptやVBScript、Perlといったスクリプト言語をIEやIIS、Officeといったいろいろなアプリケーションで利用するための技術です。
IEがWebページ内に埋め込まれたスクリプト言語はIE自身が処理をしているのではなく、ActiveX Scriptingを通してほかのスクリプトエンジンに渡して解釈をしています(参考:@IT Insider's Computer Dictionary[ActiveXスクリプティング (ActiveX scripting)])。
HTMLとVBScriptやJavaScriptといったスクリプト言語を使って、動的なページを生成する技術です。現在は、ASPの後継技術として開発されたASP.NETが利用されていることが多くなっています。
では、今回の記事では読者の皆さんが一番身近にある(であろう)ActiveX Controlについて解説をしていきたいと思います。
次のページでは、ActiveX Controlの利便性や、セキュリティ上どのような対処が必要かについて解説します。
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