TCP/IPを制するものはネットワークを制すネットワークの基礎を学習する CCNA対策講座(6)(2/2 ページ)

» 2008年04月14日 00時00分 公開
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TCPとUDPのヘッダ構成要素

 データにヘッダを追加するカプセル化では、TCP、UDPのそれぞれで異なるヘッダが使用されます。

●TCP
ヘッダ構造 説明
送信元ポート番号 送信元(クライアント)のポート番号
送信先ポート番号 送信先(あて先となるアプリケーション)のポート番号。アプリケーションの識別に使用される
シーケンス番号 セグメントの順番、セグメントの欠落を調べるために使用される番号
確認応答番号 セグメントの受信ができたことを送信元に伝えるために使用される番号
データ長 データ部分が始まる位置
予約 将来の拡張用。現在は使用されない
制御ビット 6つの制御ビット
ウィンドウ 受信可能な最大セグメントサイズ
チェックサム TCPヘッダとデータが正常に受信されたことを確認するために使用される情報
緊急ポインタ どのセグメントで緊急データが発生したかを特定するための情報
オプション TCPの性能や機能の向上に使用される情報

ヘッダ:20バイト
(160ビット)
送信元ポート番号
送信先ポート番号
シーケンス番号
確認応答番号
データ長
予約
制御ビット
URG
ACK
PSH
PST
SYN
FIN
ウィンドウ
チェックサム
緊急ポインタ
オプション
16
16
32
32
4
6
6
16
16
16
可変
 
データ
↑ビット数

●UDP
ヘッダ構造 説明
送信元ポート番号 送信元(クライアント)のポート番号
送信先ポート番号 送信先(あて先となるアプリケーション)のポート番号。アプリケーションの識別に使用される
データ長 UDPヘッダとデータの合計サイズ
チェックサム データ受信を正常な形式で受信したかどうかを確認する情報

ヘッダ:8バイト
(64ビット)
送信元ポート番号
送信元ポート番号
データ長
チェックサム
16
16
16
16
 
データ
↑ビット数

確認問題2

問題

TCPとUDPの両方に含まれるヘッダ要素を選択しなさい。

a.送信元ポート番号

b.シーケンス番号

c.送信先ポート番号

d.データ長

e.チェックサム

f.制御ビット

正解

a、c、d、e

解説

 UDPヘッダに含まれる送信元ポート番号、送信先ポート番号、データ長、チェックサムは、TCPヘッダにも該当する領域が存在します。選択肢bのシーケンス番号、選択肢fの制御ビットはTCPヘッダのみに含まれます。TCPは信頼性のあるプロトコルのため、3ウェイハンドシェイク(TCPでの接続を確立するためにクライアント側とサーバ側で3回送受信を行うこと)に必要な情報を格納する領域が含まれます。一方、UDPには3ウェイハンドシェイクは存在せず、通信前に送信元と送信先の間でコネクション確立の手順は行われません。ストリーミングなどのデータ配信では、信頼性よりも速度を重要視することからUDPが使用されます。

ポート番号

 TCP/IPプロトコル群のどのアプリケーションを使用するかは、送信先ポートで識別されます。通常、プロトコルごとに固定のポートが割り当てられており「ウェルノンポート」と呼ばれます。代表的なウェルノンポートには次のものがあります。

ポート番号 プロトコル 説明
20 FTP ファイル転送のデータ用(File Transfer Protocolのデフォルト・データ・ポート:Default Data Port)
21 FTP ファイル転送の制御用(File Transfer Protocolのコントロール・ポート:Control Port)
23 TELNET 遠隔操作(Telnet)
25 SMTP 電子メールの送信(Simple Mail Transfer Protocol)
53 DNS ホスト名とIPアドレスを対応させる(Domain Name System)
80 HTTP WebサーバとWebブラウザ間でHTMLファイルをやりとり(Hyper Text Transfer Protocol)
161 SNMP ネットワーク上の装置の管理、監視(Simple Network Management Protocol)

 送信元(クライアント)が送信先(アプリケーション)に要求を行う場合、TCPヘッダの送信先ポートにはウェルノンポートが格納されます。送信元ポートは、1024以上の空きポートがランダムに選択されます。TCPヘッダでカプセル化されたセグメントを下位層であるIPに渡すと、送信元と送信先のIPアドレスを含むIPヘッダにてデータをカプセル化し、パケットを作成することができます。

確認問題3

問題

アプリケーションとポート番号の組み合わせとして正しいものを2つ選択しなさい。

a. TELNET:21

b. HTTP:80

c. FTP:23

d. DNS:53

e. SMTP:161

正解

 b、d

解説

 個々のアプリケーションプロトコルには、あらかじめ決められたポート番号があります。正解となるHTTPはポート80、DNSはポート53というようにポート番号が決められていることで、クライアントが送信先のアプリケーションを指定しなくてもポート番号からあて先となるアプリケーションの識別ができるようになっています。

 不正解となる選択肢aのTELNETはポート23、選択肢cのFTPはポート20と21、選択肢eのSMTPはポート25を使用します。ポート161はSNMPで使用されるポートです。


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