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» 2008年05月14日 00時00分 公開

いまさら聞けない「Webブラウザ」超入門 後編いまさら聞けないリッチクライアント技術(12)(2/3 ページ)

[江原顕雄,@IT]

Webブラウザが違うと何が違うのか?

 前ページで4種類のブラウザを挙げましたが、いったい何が違うのでしょうか?

 ブラウザごとにデザインが違ったり、各種機能が搭載・非搭載といった差異はありますが、「レンダリングエンジン」の名前も違います。

 Webブラウザのレンダリング機能とは、Webページの情報をWebブラウザ画面に表示する機能です。

 レンダリングエンジンの名前は、Internet Explorerでは「Trident」(トライデント)、Firefoxでは「Gecko」(ゲッコー)、Operaの「Presto」(プレスト)、Safariの「WebKit」(ウェブキット)などさまざまです。

 以前は、ブラウザが違うとページが見えたり、見えなかったり、デザインがまったく違うものになってしまうなどの不具合がありました。しかし最近では多くのWebサイトが、ブラウザは違っても同じデザインでコンテンツを見られるようにしているので、ブラウザエンジンの差がなかなか実感できません。

 そこで、ブラウザのレンダリングテストが行えるページにいって、愛用しているブラウザの実力をThe Web Standard Projectのテストサイト、Acid3で測定してみましょう。

・Acid3

画面6 ブラウザがWeb標準にのっとっているかのテストを行うacid3 画面6 ブラウザがWeb標準にのっとっているかのテストを行うacid3

 Acid3は「Webページがきちん各種ルールを守って表示できるか?」がチェックできるサイトです。点数が高いブラウザほど「Web標準にのっとっている(参照:いまさら聞けない“Web標準”、そしてXHTML+CSS)」といえます。

 Yahoo!やGoogleといったサイトはどのブラウザでも同じ表示ができるように開発されていますが、Acid3のテストページでは、逆にブラウザによって表示ができたり、できなかったりの差が確認できるようになっています。

画面7 Internet ExplorerでAcid3のページを表示させたところ 画面7 Internet ExplorerでAcid3のページを表示させたところ
図8 SafariでAcid3のページを表示させたところ 図8 SafariでAcid3のページを表示させたところ

 Acid3で確認できるように、ブラウザによって表示のされ方が異なってきてしまった背景には、Webブラウザ同士が繰り広げてきた競争があります。

Webブラウザの誕生と米ネットスケープの繁栄

 では、Webブラウザの歴史を振り返ってみましょう。ブラウザの歴史はシェア獲得競争の歴史でもあります。

 1990年にWebのシステムを考え、開発したティム・バーナーズ=リーが「World Wide Web」という世界最初のWebブラウザを、Webサーバソフトと同時公開しました。このWebブラウザは文字とハイパーリンクを表示するだけのシンプルなものでした。

 1993年、イリノイ大学の米国立スーパーコンピュータ応用研究所に所属していたマーク・アンドリーセンらがテキストだけでなく、画像のコンテンツが表示できる「NCSA Mosaic」を開発しました。画像とテキストが混在するコンテンツを表示できるこの革新的なソフトのおかげで、Webを使うユーザーが増えました。

 1994年4月、マーク・アンドリーセンは、画像や動画に強いPCの開発・販売を行っていたSGI(米シリコングラフィックス)を創立したジム・クラークと「Mosaic Communications」を創立し、11月に「Netscape Communications」(以下、米ネットスケープ)に社名を変更し、Webブラウザ「Netscape Navigator」を発表しました。

 1995年に、Netscape NavigatorはJavaScriptやCookieに対応し、機能も大幅に拡張されました。このバージョン2は人気を呼び、爆発的にNetscape Navigatorのユーザーは増えていきました。1996年にリリースされたバージョン3では、Webブラウザのシェアを70%以上をNetscape Navigatorが獲得していました。

米マイクロソフトの「OS標準搭載」という反撃

 米ネットスケープに攻撃をかけてきたのが米マイクロソフトです。1996年から2000年にかけて米ネットスケープと米マイクロソフトのWebブラウザの激しいシェア獲得競争が行われました。これらの争いは「第1次ブラウザ戦争」と呼ばれています。

 米マイクロソフトは、米ネットスケープの成功とネットユーザーの爆発的な増加を目の当たりにし、急きょWebブラウザのリリースを目指します。

 当時の米マイクロソフトのオペレーティングシステム、Windows 95のセールスは大成功しましたが、ブラウザのシェアは、Netscape Navigatorに立ち向かえずに敗れていました。

 米マイクロソフトは総力を尽くして、1996年にInternet Explorer 3.0を無償でリリースして対抗しました。それでも、まだまだNetscape Navigatorに追い付かず、ユーザー数を思うように増やすことはできませんでした。

 1997年に、Netscape Navigatorはにバージョン4.0をリリースします。機能面は強化されつつも、動作が不安定だったりバグが多かったりと評判はよくありませんでした。

 同じ年の1997年に、一方の米マイクロソフトはInternet Explorer4を、Windows OSの標準搭載ソフトウェアとしてリリースしました。無料で機能面も改良されたInternet Explorer4とInternet Explorer5は、1999年にWebブラウザシェアのトップを奪います。

 その間、米ネットスケープもNetscape Navigatorをオープンソース化したり、1998年にAOLによって買収され資本を強めますが、その後のシェアで米マイクロソフトに打ち勝つことはできませんでした。

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