日本の業務アプリでは帳票印刷は必須の機能。その開発コンポーネントとして人気のActiveReportsの特徴と使い方を紹介。
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Visual Studioでアプリケーションを作成する場合、特に社内向けアプリケーションの場合では、データベースに接続してデータを参照したり登録したりするデータベース処理が多いと思われますが、それと同時によく必要とされるのが印刷処理です。もちろんデータベースへのデータ入力のフロントエンドとしてアプリケーションを作成する場合には、印刷処理はそれほど必要とはされませんが、データベースからデータを引っ張ってきてレポートを作成する、いわゆる帳票出力を行う場合には必須となります。そしてたいていの場合、開発者の多くはこの印刷処理に頭を悩ませることになります。
確かにVisual Studio(.NET Framework)には、印刷関連のクラスやダイアログなどが用意されています。しかし、それらのクラスやダイアログは基本的な(低水準な)印刷機能しか提供していません。このため、例えばSystem.Drawing名前空間のGraphicsクラスのDrawStringメソッドを使ってスクラッチでページを印刷するような実装が必要となります。これでは、昨今の時間的(かつ経済的)に余裕のない一般的なプログラマーには、印刷処理は大きな負担となってしまうでしょう。
ということで今回は、プログラマーの印刷処理への負担を減らすべく、帳票および レポートの印刷が行えるコンポーネントを紹介します。Visual Studioには、「レポート アプリケーション」や「Crystal Reports アプリケーショ ン」という帳票作成機能が標準で搭載されています。前者のレポート・アプリケー ションについては、以下のMSDNのページに詳しく紹介されています。
もう一方のCrystal Reportについては、Insider.NETで以前に記事が公開されています。
・Crystal Reportsで作る高品質なWebレポート
これに対し本稿では、市販のコンポーネント製品として、数多くの業務アプリケーションで採用されているグレープシティの「ActiveReports for .NET 3.0J(以下、ActiveReports)」を取り上げます。
ActiveReportsは、.NET Frameworkがリリースされる以前から、ActiveXコントロールとしても販売されていた帳票作成ツールで、.NET Frameworkの登場とともに.NET版が提供開始されました。現在はバージョン 3.0Jがリリースされています(ちなみに、ActiveReportsの日本語版はグレープシティが販売していますが、ベースになっている英語版はData Dynamics社が提供しています)。現在のバージョンでは、Visual Studio 2008/2005/.NET 2003の3つの開発環境に対応しています。
■2つのエディション
ActiveReportsは「Standard Edition」と「Professional Edition」が用意されています。この2つのエディションの違いは、主に、「エンド・ユーザーが印刷内容を定義するデザイナを作成/配布できるかどうか」「PDF出力の際に、外字を使用したり、フォントの埋め込みを制御したりといったフォント処理が行えるかどうか」などです。これらのニーズがある場合には、Professional Editionを選択します。
では、まずはActiveReportsの基本機能を確認しておきましょう。
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