マイクロソフトとの闘いでは「遂行の失敗は許されない」米ヴイエムウェアCEOのポール・マリッツ氏

» 2008年09月18日 00時00分 公開
[三木泉,@IT]

 7月初めに米ヴイエムウェアの社長兼CEOとなったポール・マリッツ(Paul Maritz)氏は9月17日(米国時間)、記者会見で前任者のダイアン・グリーン氏やメンデル・ローゼンブルム氏(チーフ・アーキテクト)との違い、同氏が以前在籍していたマイクロソフトと競合していくことなどについて語った。以下はその内容の一部である。

―― 前任者との違いは何か。

米ヴイエムウェア社長兼CEO ポール・マリッツ氏

 ダイアンとメンデルはヴイエムウェアの技術的な基盤を築く素晴らしい仕事をしてくれた。ただし、当社は多くの顧客にとって戦略的に重要なベンダになっている。今回のVMworldにも70人を超えるCIOレベルの人々が来て、2日間を一緒に過ごしてくれている。こうした人たちは技術以上のものを求めている。彼らはわれわれと長期的なパートナー関係をどう築けるか、われわれのロードマップを自社のロードマップとどう結び付けられるかを考えている。私がやりたいことの1つは、ヴイエムウェアにおけるチーム力を強化し、より成熟した企業になることだ。世界のさまざまな地域でお客様との関係を深め、テクノロジーパートナーとの連携を深め、さらに3つの取り組み(企業内のクラウド化、外部クラウドとの連携、クライアントの仮想化)を同時に遂行していく。

―― クライアントに関するビジネスはどれほど大きな事業機会になるのか。

 非常に大きな事業機会だと考えている。企業はこれまでヴイエムウェアの技術を使って、購入し、運用し、管理しなければならない物理サーバの数を減らしている。こうしたお客様はデスクトップについても同様な節約を実現しようとしている。しかし、エンドユーザーが望む使い勝手を犠牲にするわけにはいかない。モバイルなユーザーに対して、モバイルであることをやめろとはいえない。この問題を解決できれば、事業機会は膨大だ。その機会はヴイエムウェアの現在の事業と同じ規模になるだろう。

―― マイクロソフトとヴイエムウェアのアプローチの違いは何か。

 私は自分のキャリアにおいて、長い年月をマイクロソフトで過ごしたので、マイクロソフトを完全に理解しているし、評価している。長期的にも短期的にも、両社には違いがある。当社のビジョンは企業に対し、アプリケーションの稼働が独立性を高められるような形で、効率的にインフラとアプリケーションを運用できる環境を提供することだ。今後、WindowsやLinuxのアプリケーションでなく、新しいアプリケーション、新しい形態のアプリケーションが試行錯誤を経て伸びていくだろう。われわれのVDC-OSの役割は、これらすべてのアプリケーションの力を高めることにある。これがマイクロソフトとの最大の違いの1つだ。

 近い将来についていえば、マイクロソフトはわれわれのテールランプにロックオンして、当社の提供している機能の多くを複製しようとしている。1週間前に彼らはイベントを開き、当社の機能を基本的に是認したうえで、彼らも開発していくと発表した。提供するのは「2年以内」だ(注:時間が掛かりすぎるという意味)。

―― 長く働いたことのある企業と戦うのはどういう気持ちか。

 彼らと競争していくのはとてつもないチャレンジだが、在籍していたことのある経験からいえば、不可能ではない。明確な方向性を確立し、その方向性がお客様にとって意味を持つものであり、これを遂行して成長することができれば、成功する。マイクロソフトが競合相手であれば、遂行にミスは許されない。彼らのほうがたくさんの金を持っていて、より多くのミスを犯すだけの余裕があるからだ。

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