「独り立ちできるエンジニア目指せ」、テンプスタッフがセミナー流行の表面を追うな、底流を学べ

» 2009年02月16日 00時00分 公開
[岑康貴,@IT]

 テンプスタッフ・テクノロジーは2月13日、「未曾有の不況下、何が起きてるIT業界・どうするITエンジニア 〜3年後のエンジニア像を考える〜」と題したセミナーを開催した。30人弱のエンジニアが集まり、講演とグループディスカッションが行われた。

谷藤賢一氏 テンプスタッフ・テクノロジー ビジネスソリューション事業部 人事センター 谷藤賢一氏

 前半では、同社 ビジネスソリューション事業部 人事センターの谷藤賢一氏が「誰も教えてくれない! IT業界で何が起きてる?」と題し、IT業界の現状を解説。「サブプライムローンの問題だけが取りざたされているが、実はそれだけではない」と語った。

 谷藤氏は「現在のIT業界を取り巻く状況は、2006年から起きたさまざまな要因が関係している」と指摘。2006年後半の「偽装請負問題」、2007年の「コンプライアンス強化」「オフショアの本格化」「サブプライムローン問題」「携帯電話市場の鈍化」、そして2008年の「メガバンクシステム統合完了」などが影響を与えていると語った。そのうえで、現在は「大手が萎縮している」とし、「IT業界は本来、不況に強く、案件自体が大幅に減っているわけではない。しかしここ数年、好景気の時期に大量採用した新人がまだ育っていないため、元請けが自社内で案件を回すようになった」と語った。これにより、従来の二次請け以降の企業に回る案件が減っているという。一方で、「景気回復後はゼネコン体質が崩れ、IT業界は良い時代に入っていくのでは」と谷藤氏は明るい展望を語った。

五味弘氏 沖ソフトウェア エンジニアリングソリューションセンター 五味弘氏

 続いて、沖ソフトウェア エンジニアリングソリューションセンターの五味弘氏が「3年後を見よ! これからの最新技術トレンド」と題した講演を行った。五味氏はいまから3年後の2012年のトレンドとして「RIAの本格化」「仮想化技術が当たり前に」「マルチタッチスクリーンが普及」の3点を挙げた。しかし一方で、3年前の2006年はWeb 2.0、SaaS、SOA、Ajax/XML、Ruby on Rails、Strutsなどが流行するといわれていたことを指摘し、「定着したものもあれば、企業システムの分野では定着しなかったものもある。結局、表面的なものは追いかけてもどうなるか分からない」と断言。「流行の表面だけではなく、その底流にあるものを見るべき」と語った。

 これを踏まえて五味氏は「この不況下、エンジニアとしてどうすべきかは、それぞれの所属や雇用形態、技術分野、スキルや経験、参加コミュニティによって変わる。どの技術を学んでおけば生き残れるなどという話ではなく、各自が何を学ぶべきか考える必要がある」とし、安易な回答を求めることを否定。そのうえで、「独り立ちできるエンジニア」をキーワードに、表面的なものではなく底流の技術を学ぶことを推奨した。

グループワークの様子 グループワークの様子

 具体的に何を学ぶべきか、その一例として五味氏は「プログラミング書法」「アルゴリズムとデータ構造」「デザインパターン」など、技術の根源的な部分を列挙。一方で「自分の考えを伝えるのはエンジニアの義務である」とし、「プレゼンテーション」と「コミュニケーション」を学ぶとよいとアドバイスをした。また、五味氏は「プログラミングを楽しもう」が座右の銘であると語り、「学ぶにしても、楽しみながらでなければ」と持論を展開した。

 セミナーの後半では、来場者が3人ずつのグループとなり、グループワークが行われた。「最近、仕事が減りましたか」「新しい技術や、自分のメインの部分とは別の分野の技術を勉強していますか」「いま、会社をクビになっても生きていけますか」「社外で人脈作りをしていますか」などのテーマが投げ掛けられ、各グループでディスカッションを行った。

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