7月1日から有料サービスが開始された「モバイルWiMAX」。下り40Mbit/sのデータ通信が可能になるという。このモバイルWiMAXとはどのようなサービスなのか?
IEEE 802.16eをもとに規格化された高速ワイヤレス・インターネット・テクノロジの愛称。WiMAXは「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の頭文字をとったもの。
屋外でのインターネット接続を目的に開発された。下り最大40Mbit/s、上り10Mbit/s(帯域10MHzの場合)のデータ転送速度を実現し、120km/hでの移動中も使用できる。規格上の通信距離(通信機器からアクセス・ポイントまでの距離)は1〜3kmである。
モバイルWiMAXは、常時接続を前提としたサービスが想定されており、一度、接続が確立されると、サービス・エリア内であれば通信が途切れることはない。またダイヤルアップのような操作は不要で、接続ツールが自動的にアクセス・ポイントを検出、自動的に接続が行われるようになっている。
日本では、UQコミュニケーションズ株式会社が「UQ WiMAX」の愛称で2009年2月26日(有料の正式サービス開始は2009年7月1日)よりサービスを展開しているほか、複数の会社がMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体サービス事業者)としてUQコミュニケーションズから回線を借りてサービスを行っている(後述)。UQコミュニケーションズでは、2012年度に人口カバー率90%を実現するとしているが、現時点では東京23区を中心とした首都圏の一部、東海、近畿地方の一部でサービスが開始されているにすぎない。
モバイルWiMAX端末は、UQコミュニケーションズからUSB、PCカード、ExpressCardの各インターフェイスを採用する製品が提供されているほか、アイ・オー・データ機器などからも販売されている。またインテルは、IEEE 802.11a/b/g/nとWiMAXの両方をサポートするPCIe Mini Card「Intel WiMAX/WiFi Link 5350/5150」などを出荷しており、これをノートPCに標準搭載する機種も増えてきている。インテルによれば、IEEE 802.11b/gなどと同様、将来はWiMAXもノートPCの標準機能になるという。モバイルWiMAX端末は、WiMAXフォーラムで互換性と相互運用性のテストを行い、認証を与えている。これによりメーカーが異なっても、組み合わせて使用できることが保証されている。
なお韓国では、2006年4月にモバイルWiMAXのサブセットともいえる「WiBro」がスタートしており全国展開されている。また、米国でもClearwireがXOHMというサービス名でBaltimore(アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア)から提供を開始している。そのほかの国でも、順次サービスが開始されるという。モバイルWiMAXでは、各国のサービスとのローミング(相互利用)も考慮されており、2.5GHz/3.5GHz/5.8GHz帯の3つが推奨されている(日本は現在2.5GHz帯を利用)。
モバイルWiMAXを利用するには、モバイルWiMAX端末を購入して、サービス会社(UQコミュニケーションズまたはMVNO)に申し込む。端末をPCに接続し、付属のユーティリティを起動すると、初回接続時にプロバイダ(サービス会社)選択画面が表示されるので、そこで希望のサービス会社を選択して登録を行えば利用可能となる。
現在のところ、サービス会社によって月額利用料金や提供されるサービスに大きな差はない。ただ自分が普段利用しているプロバイダがモバイルWiMAXを提供しているようならば、そこを選択すると若干、月額料金が割り引かれるところもあるので、下表を参考にサービス会社を選ぶとよい。
\1サービス名 | 提供会社 | 初期費用 | 月額料金 | 備考 |
---|---|---|---|---|
@nifty WiMAX | ニフティ | 2835円 | 4462.5円 | @niftyを利用中している場合4200円 |
BIC WiMAX Service | ビックカメラ | 2835円 | 4480円 | − |
BIGLOBE高速モバイルWiMAX | NECビッグローブ | 2835円 | 4473円 | BIGLOBEを利用中している場合4263円 |
Business WiMAX | KDDI | 3150円 | 4480円 | 法人向けサービス |
DIS mobile WiMAX | ダイワボウ情報システム | 2835円 | 4480円 | 年間契約では4万9800円 |
UQ WiMAX | UQコミュニケーションズ | 2835円 | 4480円 | − |
WICOM WiMAX | ワイコム | 3150円 | 3990円 | − |
YAMADA AIR MOBILE | ヤマダ電機 | 2835円 | 4480円 | − |
ワイヤレスゲートWi-Fi+WiMAX | ヨドバシカメラ | 2835円 | 4480円 | − |
各社が提供するモバイルWiMAXのサービス(2009年7月1日現在) |
前述のとおり現時点では、モバイルWiMAXのサービス・エリアが狭いうえ、UQコミュニケーションズがサービス・エリア内としていても、正常に通信できないところもある。そのため、UQコミュニケーションズでは、「Try WiMAX」という無料の体験サービス(15日間)を行っている。モバイルWiMAXの導入を検討している場合は、まず行動エリア内でモバイルWiMAXが利用できるか、確認してからの方がよいだろう。
「用語解説」
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