第2回 Windows Server 2008 R2の概要(2) − システム要件と機能Windows Server 2008 R2の真価(2/2 ページ)

» 2009年09月02日 00時00分 公開
[高添修(エバンジェリスト)マイクロソフト株式会社]
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Windows Server 2008 R2の主な新機能

 Windows Server 2008 R2の主な新機能を以下にまとめてみた。なお、それぞれの機能の詳細については、次回以降、詳しく解説していく予定だ。

基本機能の強化と新しいシナリオ

基本機能の強化 サポートするコア数を最大256まで拡大
モジュール化の推進によるフットプリントの削減
コアパーキング
ACPI Pステート調整
NUMAサポート
多段階UAC
新しいシナリオ BranchCache
DirectAccess
Server Core上での.NET稼働
デスクトップの仮想化(Virtual Desktop Infrastructure)
ファイル分類管理(FCI)

 Windows Server 2008 R2は、拡張性、高いパフォーマンス、省電力といった信頼されるOSとしての進化に加えて、ファイル・サーバ、Server Core、仮想化などで新しいシナリオを用意している。また、BranchCacheやDirectAccessなど、同一カーネルを持つWindows 7と組み合わせて利用することで可能になる新しい機能についても注目してほしい。

仮想化1:サーバ仮想化(Hyper-V 2.0)

集積率の向上による運用コスト削減 64基の論理プロセッサのサポート
コアパーキングによる消費電力の削減
ディスクI/Oのパフォーマンス向上
(可変VHD、固定VHD、物理利用、差分ディスク)
メモリ・アクセスの高速化(SLAT)
ネットワークのパフォーマンス向上
(VMQ、ジャンボフレーム、TCPオフロード)
ハードウェア機能によるプロセッサ負荷の削減
Dynamic ITへの進歩 ライブ・マイグレーション
クラスタ用の共有ボリューム(CSV)
マイグレーション時のプロセッサの互換性確保
仮想ストレージ(SCSIポートVHDファイル)のホットプラグ

 サーバ仮想化技術では、導入・利用の容易さなどの特徴を継続しつつ、利用者から要望の多い機能を標準装備し、さらには徹底的なパフォーマンスの見直しを図っている。また、機能強化によって設計も容易になってきている。特に仮想マシンを稼働した状態で、別の仮想環境に移行可能なライブ・マイグレーションがサポートされた点に注目していただきたい。

仮想化2:デスクトップとプレゼンテーションの仮想化

リモートとローカルのギャップ低減 RDP(Remote Desktop Protocol) 7.0
パフォーマンス向上
マルチメディア・リダイレクト
リモートAero Glass
10台までのマルチモニタ
言語バー・リダイレクト
シングル・サインオン
マイク・デバイス・サポート
Virtual Desktop Infrastructure(VDI) Hyper-V 2.0と連携
VDI用接続ブローカ
VDI用Webポータル
VDI用セッション・ホスト(仮想クライアントへリダイレクト)
シングル・サインオン
個人用仮想デスクトップ管理
WebFeed機能

 Windows Server 2008 R2はデスクトップの仮想化を推し進めるべく、リモートとローカルでの利用のギャップを低減、さらには集中管理機構を導入し、Virtual Desktop Infrastructure(VDI)をマイクロソフト・テクノロジだけで実現できるようになった。

Webサーバ IIS 7.5

IIS 7.5 拡張モジュールのOS標準化
WebDAV標準化
アプリケーション・プールのセキュリティ強化
Server Core上での.NET稼働(軽い.NETサーバ)
PowerShellによる管理
FTP over SSL(Secure Sockets Layer)

 Windows Server 2008 R2のWebサーバ IIS 7.5は、Windows Server 2008で採用されたモジュール・アーキテクチャをベースに、アドオンとして提供していた有用なモジュールをOS標準へと追加した。FTPの強化やPowerShellでの管理機能強化も進められている。

運用管理とセキュリティ

PowerShell 2.0と自動化 PowerShell 2.0(OSの標準機能)
各種機能のPowerShell 2.0での管理
(Active Directory、Hyper-V、IIS 7.5など)
PowerShellベースのActive Directory管理センター
PowerShell用のエディタ
管理環境とセキュリティの強化 Active Directoryゴミ箱
DNSSEC
NAPでの複数ポリシー・サポート
DHCPサーバのMACフィルタ
AppLocker
読み取り専用DFS
BitLocker to Go
そのほか サーバ・マネージャによるリモート・マシン管理
Windows Serverバックアップの拡張
VHDブート(VHDファイルからの物理マシン起動)
VHDマウントと操作の標準化
Windows展開サービスでのVHDサポート
Best Practice Analyzerの組み込み

 運用コスト削減が1つのキーワードとなっているいま、Windows Server 2008 R2では、管理性がさらに強化された。また、仮想化のテクノロジであったVHDフォーマットの再利用性強化や、マイクロソフトが持つノウハウを現場にダイレクトに伝えるためのBest Practice Analyzerの導入など、システム導入の初期段階からトラブルをなくしていくことにも力を入れている。


 さて今回は、Windows Server 2008 R2のシステム要件や新機能を一覧として整理してみた。サーバ OSが提供する各機能は1つ1つが重要であり、今回のようにわずかな情報では伝わらないことも多いだろう。ただ、すべての機能を理解するには時間もかかるので、まずは一覧から気になるキーワードを探し出し、そこから勉強をスタートするのもよいだろう。


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