「朝起きてから学校や会社に行くまでの時間を便利にするサービスを開発せよ。開発時間はきっかり24時間」――。クックパッドは、4月23日から25日にかけて開催した「開発コンテスト24」でこんな課題を提示した。ゴールデンウィーク前の週末、世間よりひと足早く始まった「技術者のお祭り」について、同社 技術部長の井原正博氏に話を聞いた。
WebサイトとTwitter上で課題を公表したのは4月23日の21時。24時間後の4月24日21時を締め切りとして設けた。「課題来た!」「誰か一緒にやらない?」など、Twitter上ではハッシュタグ「#24contest」を使って、多くのエンジニアが参加表明やアイデアをツイートした。「参加者が3人ぐらいしかいなかったらどうしよう……と思っていたから安心しました」と、井原氏は話す。
開発コンテストは、エンジニアのアイデアから誕生した。「生活を便利にするサービスがもっと生まれてきていいのでは」とエンジニア同士で以前から話し合っていたという。
課題を決める際には3つのポイントがあった。「『生活を便利にする』というモットーに沿っていること」「作っているときにわくわく感があること」、そして「24時間で作りやすいこと」。「課題があまり難解だと、開発が楽しくなくなってしまうし参加しづらい。作っている人が『楽しい』と思えることが重要ですから」。
技術者が開発しやすい環境を提供するため、同社は本社を会場として公開し、昼食を出していたという。開発中は、Twitter上で絶えず参加者の進ちょくや会話が流れていた。24日の21時には、井原氏の予想を大きく上回る127作品が集まった。
25日になると、「不眠不休」のバトンは参加者たちからクックパッドのエンジニアたちに手渡された。予想よりも応募作品が多かったため、25日の早朝から6人がかりで作業を開始したという。まず、2人1チームで応募作品をざっと仕分け、各人が「これはいい」と思うものを選ぶ。この時点で、127作品を20作品ぐらいにまで絞った。
審査基準は「使ってもらえるサービス」であること。コンセプトはいいがサービスとして動かないもの、サービスとしては完成しているがもう少しひねってほしいもの、いろいろあった応募作品のうち、「サービスとして動かないもの」は省いた。
そこから、6時間近くかけてランキングを付けた。何時間も同じサービスを使っていると、だんだんコツや味わいが分かってきて、愛着がわいてくるのだという。「これぐらいの時間になると、だんだんテンションがおかしくなってくるんですよね。『きっとこのサービスはこういうことを狙っているのでは……?』と深読みしたりして、何度もランキングをひっくり返しました」と、井原氏は笑う。「本気で使ってみないと開発者に失礼」と、起床系サービスの性能を確かめるために、実際に寝て試すこともあったという。
激論の末、夜寝る前に「朝やりたいこと」を決めるアラームサービス「MoCo Time for iPhone」が優勝作品に決定した。「起きたときにうれしくなるもの」という、前向きな姿勢を評価したという。
「わたしたちにとって、『楽しい』ことはすごく重要なんです。わたしは“食育”という言葉があまり好きではありません。『食事をしなければならない』よりも『食事をするのは楽しい』という方がずっといいと思います」。
5月22日の表彰式では、参加者限定のライトニングトークイベントを行う。授賞式当日の模様は、Ustreamでの中継を予定している。開発コンテストは、これからも継続して行う予定だという。
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