なおVS 2010では、この「this.Close()」と記述する際、「this.」と入力すると、そのthis(=Displayオブジェクト)に含まれるメンバの一覧が自動的に表示される。これは、IntelliSense(インテリセンス)と呼ばれるVS 2010の機能である。IntelliSenseは、[Ctrl]+[スペース]キーを押すことで、手動で表示させることもできる。また、文字の入力途中で[Ctrl]+[スペース]キーを押すと、コードの入力を補完してくれる。IntelliSenseを使いこなせば開発生産性を高められるので、ぜひ使い慣れてほしい。
以上で、アプリケーションを終了する機能を実装できた。これを再度ビルドして実行すると、今度は実際にアプリケーションが終了するようになったはずだ。
次に、「フォームがフェード・アウトしながら終了する機能」を実装しよう。
ここでは、フォームのフェード・アウトを行う、次のようなシグネチャのメソッドを追加しよう(ソース・コードに書き込めばよい)。
private void FormFadeOut()
{
}
このFormFadeOutメソッドに、フォームをフェード・アウトさせる機能を実装する(後述)。
FormFadeOutメソッドの追加が終わったら、先ほど実装した「アプリケーションを終了する処理」の前に、そのFormFadeOutメソッドを呼び出すようにしよう。具体的には、次のようなコードになる。
private void menuItemClose_Click(object sender, System.EventArgs e)
{
// フォームをフェード・アウトさせる
FormFadeOut();
// フォームを閉じる → アプリケーションを終了する
this.Close();
}
仕上げとして、実際のフェード・アウト処理をFormFadeOutメソッド内に記述する。フェード・アウトとは徐々にウィンドウが見えなくなっていくことなので、現在50%の不透明度(前回の解説でOpacityプロパティを50%に指定した)を49、48、47……と、1つずつ減らしていけばよい(不透明度が減っていく=透明になっていく)。ただし、単に減らすだけだと、コンピュータ(CPU処理)のスピードは非常に速いので、あっという間に0%まで減ってしまう。そこで、1%減るごとに1ミリ秒だけ処理を停止することにしよう(処理の停止には、System.Threading名前空間に所属するThreadクラスの静的メソッドSleepを使えばよい)。これにより少し時間をかけてフェード・アウトするようになる。
このフェード・アウト処理を実装したのが、次のコードである(※実はコード内に正しくない部分があるが、これは以降の説明のための故意の誤りである)。
private void FormFadeOut()
{
for (int n = 49; n >= 0; n++)
{
// 49%から1%ずつ不透明度を少なくする(=透明になる)
this.Opacity = (double)n / 100;
// 1%減るごとに1ミリ秒処理を停止する
System.Threading.Thread.Sleep(1);
}
}
ここまででコーディングは完了である。
さっそく、完成したソース・コードをビルドして実行してみよう。実行した「時計」アプリケーションのフォーム上で右クリックしてコンテキスト・メニューを表示し、そのメニューから[終了]を選択すると、次の画面のように、アプリケーションがフリーズして「応答なし」の状態になってしまった。これは先ほど実装したコードに何らかのバグがあるためと考えられる。
このアプリケーションには、「バグ(Bug)」があるためそれを取り除く「デバッグ(Debug)」が必要となる。よって次に、そのデバッグ方法について解説する(バグの個所はお気づきの方も多いだろうが、ここでは目をつぶっていていただきたい)。
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