CouchDBはデフォルトでは、ローカルホストのみでしかアクセスできません。CouchDB on Androidも例にもれず、127.0.0.1でしかアクセスできないので、検証を行うには不便です。そこで、外部からもCouchDB on Androidにアクセスできるようにしてみましょう。
ここで行う設定は注意が必要です。ファイアウォールに守られたネットワークとは違い、スマートフォンで使う3Gネットワークの環境ではインターネット経由から誰でもアクセスできるようになります。
などの対策が必要です。
設定には、AndroidのSDカードをUSBストレージとしてマウントします。DebianなどのGNU/Linux環境では、下記のように行います。まず、USBケーブルでPCと接続します。その後、下記の手順でSDカード下の、/couch/etc/couchdb/local.iniを変更します。
$ sudo mount /dev/sdb1 /mnt $ cd /mnt/couch/etc/couchdb $ vi local.ini ←以下のように修正(変更個所のみ抜粋)
#変更前 ;bind address = 127.0.0.1 #変更後 bind address = 0.0.0.0
変更後、アンマウントしUSBケーブルを抜いて、CouchDBランチャーから起動し確認してみます。Androidの標準ブラウザで、IPアドレスを直接入力しても(図5)、Android端末に対しアクセス可能なPCからブラウザでもアクセスできることが確認できます(図6)。
今回は、CouchDBの最近の動きの中から、CouchDB on Androidに焦点を当てました。CouchDBの3つの特徴をモバイル端末で活用することによって、いままでにないアプリケーションの開発、利用形態が考えられるのではないか、と提言しました。本文中でも触れたとおり、Androidだけでなく、今後、ほかのモバイルデバイス向けのプラットフォームにもCouchDBは移植される予定になっています。
CouchDBのオフラインでの利用と、レプリケーションによるアプリとデータの同期は、どんな場合にでも利用できるわけではなく、利用シーンも限られるとは思います。各種マーケットの仕組みを介さないので、アプリケーションを販売する場合には課金方法から考える必要があります。Webブラウザ自体もまだまだ改良の余地があり、スマートフォンでは専用アプリの方が使いやすい場合もあるでしょう。これらの観点を含めると、Webアプリとして完結するCouchDBは正解とはならないケースもあるでしょう。
Androidを含め、モバイル端末向けのプラットフォームはまだ発展途上で、改良や進歩の余地はまだまだたくさんあります。今回紹介したCouchDB on Androidも、モバイルアプリを普及させるための手段の1つとして、挑戦のしがいがあり可能性に満ちたプラットフォームではないでしょうか。
次回は、CouchDB on Androidについてさらに踏み込んでみたいと思います。Time to Relax!
まえだこうへい
Debian JP Projectのメンバーとして活動中。CouchDB JPにも参加しており、いよいよCouchDB の季節が再びやってきたと感じているこのごろ。
愛猫こまめ、ヨメ、家事、プライベートの順の優先度による、時間制約に頭を悩ませている。近著に「知って見るみるKVM」(@IT)、「KVM 徹底入門」(翔泳社)がある。
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