ミラーが不完全な状態になった後、これを回復させるには、いったんミラー・ボリュームを解除して、シンプル・ボリュームに変換する。シンプル・ボリュームに変換せず、不完全な状態のままミラー用のディスクを追加して正常なミラー・ボリュームに戻すことはできない。
不完全なミラー・ボリュームをシンプル・ボリュームに変換するには、ミラー・ボリュームを選択して右クリックし、ポップアップ・メニューから[ミラーの削除]((5))を選択する。先ほどの例(ディスク1をゼロ・クリアした状態)でこれを実行すると、次のようなダイアログが表示される。
ここには2つのディスクが表示されている。「ディスク 2」の方は、ミラーの残りのディスクなので、削除できない。もしこれを選択して削除しようとすると、次のようなダイアログが表示される。
「プレックス」とは、ミラー(RAID-1)やRAID-5のボリュームを構成する、1つのディスク上の領域のことである。プレックスが複数集まって冗長ボリュームを構成する。最後のプレックスを削除してしまうとボリュームとして機能しなくなるので、このような警告ダイアログが表示され、実際には削除できないようになっている。
先ほどの画面で「不足」と表記されているディスクを削除すると、ミラー・ボリュームが解除され、ディスク2上のプレックスは単独のシンプル・ボリュームに変換される。結果は次のようになる。
これにドライブ名を割り当てれば、通常のシンプル・ボリュームとして利用できる。ミラー・ボリュームに戻す場合は、[ミラーの追加]メニューを実行して、次のミラー化を行う。
シンプル・ボリュームをミラー・ボリュームにするには、ミラーの追加という操作を行う。対象となるシンプル・ボリュームを右クリックし、ポップアップ・メニューから[ミラーの追加](上の画面の(3))を選択する。
なお、最近のWindows OSではプライマリ・パーティションにミラーを追加できるが(実際には、まずダイナミック・ディスクに変換後、ミラーの追加操作が行われる)、Windows XPのような古いWindows OSではこの操作はできない。その場合はまず手動でダイナミック・ボリュームに変換する必要があるが、ブート・ドライブではこの変換も制限されている。必要なら、ほかの仮想マシンに接続してあらかじめダイナミック・ディスクに変換しておくなどの操作が必要になる(「ディスク管理ツール徹底活用」参照)。
ミラーの追加を実行すると、次のような画面が表示される。
追加したいディスクを選んで[ミラーの追加]を選択すると、元のシンプル・ボリュームと同じサイズのボリューム(プレックス)が指定したディスク上に作成され、さらにその内容のコピー(同期操作)が始まる。同期が完了する前に使用することもできるが(必要ならドライブ名を割り当てること)、同期作業中はシステムの負荷が高くなっているので、待つ方がよいだろう。同期作業の進行状況は、管理画面で確認できる。
以上の操作では、わざとエラーを発生させてシンプル・ボリュームにしてみたが、正常に動作しているミラー・ボリュームを分割して、2つのシンプル・ボリュームに分けること(ミラーの解除)もできる。ミラー化とミラーの解除を組み合わせればディスクのコピーも可能だが、仮想環境の場合は.VHDファイルを直接コピーすればよいので、そのような使い方は必要ないだろう。
ミラー・ボリュームを2つに分割するには、ボリュームを右クリックして、ポップアップ・メニューから[ミラー ボリュームの解除]を選択する。
実行後は次のようになる。
今回はストライプ・ボリュームとミラー・ボリューム、およびディスク・エラー発生時の挙動と対処方法などについて解説した。次回はディスク管理編の最後として、RAID-5ボリュームとディスクの署名などの話題について取り上げる。
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