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将来のキャリアに不安を抱えているが、不安を解消するための具体的な行動をなかなか起こせない。勉強への意欲はあるものの、忙しい日々の中でどんな勉強をしたらいいのか分からない―― 情報処理推進機構(IPA)が4月20日に発表した「IT人材白書2011」概要から、 将来の道筋が見えずに行動しあぐねているエンジニアの姿が浮かび上がってきた。
「将来のキャリアについて不安に思うか」という問いに対して「よく当てはまる」は19.4%、「どちらかといえば当てはまる」が49.6%と、約7割のエンジニアが自らの将来に不安を感じていることが明らかになった。
不安要因として最も多かったのは「自分の現在のスキルが将来にも通用するかどうか分からない」(49.2%)で、次点の「自分の会社が、将来も今と同じ状況にあるか分からない」(34.2%)を大きく引き離している(「IT人材白書2010調査」)。
だが、不安を自覚しているエンジニアの多さと比べると、 実際に「スキルアップのために勉強する」といった行動を起こす割合は少ない。むしろ、将来のキャリアに不安を抱いている人ほど、スキルアップのための行動を起こさない傾向にある。
将来のキャリアに不安を持つ人の約8割が、「将来のために勉強した方がいいことは分かっているが、なかなか行動に移せない」と回答している。一方、不安がない人の「行動に移せない」という回答は半数程度に留まった。
また、キャリアに不安を持つ人のうち63.3%が「忙しい中、どのような勉強をしたらいいのか分からない」と回答、不安を持たない人と23.9%もの差をつけている。このことから、「不安はあるが、具体的な行動に移せていないし、その方法も分からない」エンジニアの姿が浮き彫りになった。
上記のような傾向は、「グローバル化に伴う英語の必要性」についても見られる。「今後、外国語は必要になるか」という問いについて、6割以上が「そう思う」と回答しながらも、「日頃、語学向上に取り組んでいる」エンジニアは2割程度であった。
この調査結果を受けて、IPAは「未来を切り開くのは、自らの気付きと意志。今後求められるスキルの目標を定め、スキル獲得への具体的な取り組みを続けることが重要」とコメントしている。
調査対象はIT産業に従事する社会人1000人。2010年8月下旬から10月上旬にかけて、Web上でアンケートを行った。「IT人材白書2011」の発行は5月20日。PDF版はIPA Webサイトから無償でダウンロードできる。
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