RightScaleは、Amazon EC2などのIaaS (Infrastructure as a Services)型サービスを対象に、システムの設計、アプリケーションの展開、サーバの管理を自動化するためのクラウド管理サービスだ。クラウドサービスはシステムの投入や拡張が容易に行えるのがメリットだが、実際には設定にそれなりの工数が掛かる場面も多い。こうした作業を省力化するとともに、システムの運用状況を監視し、対応するためのプラットフォームとしての役割も果たす。このサービスの仕組みや活用方法を解説する
RightScaleは、Amazon Web ServicesやRackspaceなどのいわゆるIaaS (Infrastructure as a Services) タイプのクラウドを使用して、システムの設計からアプリケーションの展開、さらにサーバの管理までを自動化するためのクラウド管理プラットフォームです。
RightScaleによってさまざまなクラウドの差異を吸収し、特定のクラウドに依存しない、柔軟性に優れたシステムを実現することができます。
RightScaleは米ライトスケールから、サービスとして提供されています。米ライトスケールは2006年創設の若い会社ではありますが、RightScaleは爆発的に利用者数を伸ばしています。2011年7月時点で270万台を超えるサーバがRightScaleを通じて立ち上げられ、この数は日々増え続けています。
2011年3月には日本法人である、ライトスケール・ジャパン株式会社が設立され、日本でも注目を集める存在となってきています。
【関連リンク】
日本からも使いやすくなったRightScaleのメリットとは(@ITNews)
http://www.atmarkit.co.jp/news/201004/07/rightsale.html
米RightScaleが日本に本格進出、クラウド利用の高度化推進(@ITNews)
http://www.atmarkit.co.jp/news/201103/09/rightscale.html
RightScaleの最大のメリットは、クラウドを簡単に使うことができるというところです。クラウドにおいてはこれまでのシステム管理と異なるスキルが求められます。
APIを制御するためのツールの選定に始まり、無数の仮想マシンのイメージから信頼できるものを選び出し、障害を前提とした設計を行い、数多くのサーバをリモートから運用する必要があります。RightScaleを使うことによって、このようなクラウドの複雑さを解決し、アプリケーション開発などのコア業務に集中することができるようになります。
米ライトスケールもAmazon Web Servicesのユーザーであり、RightScaleは自社の運用ノウハウをもとにして作られているため、Amazon Web Servicesと親和性の高いサービスといえます。しかしながら、RightScaleは特定のクラウドベンダにロックインされることを避け、クラウド間のポータビリティを実現することを目指しています。これを実現するために、RightScaleでは、すべてのコンポーネントが疎結合でゆるやかに連携されるフレームワークを提供しています。
RightScaleで構築されたシステムは、パブリッククラウド、プライベートクラウドを意識することなく、最適な環境で動作させることができるようになります。現在、パブリッククラウドとしてAmazon Web ServicesだけでなくRackspaceをサポートしており、今後はWindows Azureにも対応していく予定です。プライベートクラウドとしては、CloudStackとEucalyptusをサポートしています。
RightScaleはクラウドをどのように使うとコスト削減につながるのかということに1つの解を示しています。本稿では、RightScaleの特徴的な機能について説明するとともに、RightScaleがクラウドにおいてどのようなポジションにあるのかについて説明したいと思います。
RightScaleの操作はすべてブラウザからGUIベースで行います。Amazon Web Servicesを利用されたことがある方であれば、AWS Management Consoleをイメージしていただければ分かりやすいでしょう。RightScaleの各コンポーネントの設定、監視やログへのアクセスだけでなく、Amazon EC2やAmazon S3などのリソースに対しても、APIを直接操作することなくブラウザから管理ができます。
RightScaleのダッシュボードでは、複数の異なるクラウドで展開されているサーバへ一元的にアクセスすることができます。個々のサーバを管理するために、ツールを使い分ける必要はありません。
ダッシュボードの日本語対応も進められてきています。ヘルプやドキュメントなども、今後日本語対応が進められていくものと思われます。
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