Windows PhoneをShake!加速度センサアプリを作るにはSilverlightベースで作るWP7アプリ開発入門(8)(2/3 ページ)

» 2012年01月13日 00時00分 公開
[泉本優輝WP Arch]

加速度センサの値を取得するイベントをコーディング

 加速度センサの値を取得するためのコードを書きましょう。プロジェクトをVisual Studioで開きます。参照設定に、「Microsoft.Devices.Sensors.dll」を追加します。

「Microsoft.Devices.Sensors.dll」の追加 「Microsoft.Devices.Sensors.dll」の追加

 センサを使うためにUsingに以下を追加します。

using Microsoft.Devices.Sensors;

 加速度センサの値を取得するイベントを書きましょう。「MainPage.xaml.cs」に「onNavigatedTo」イベントを設定します。onNavigatedToイベントはそのページに遷移したときに実行されるイベントです。

protected override void OnNavigatedTo(System.Windows.Navigation.NavigationEventArgs e)
{
      base.OnNavigatedTo(e);
}

 onNavigatedToイベントを書き換えて、加速度センサとなる「Acceleromater」を宣言し、加速度センサの値が変わったときに実行されるイベント「accelerometer_ReadingChanged」を宣言しています。

protected override void OnNavigatedTo(System.Windows.Navigation.NavigationEventArgs e)
{
      Accelerometer accelerometer = new Accelerometer(); //加速度センサのコンストラクタを宣言
      accelerometer.ReadingChanged += new EventHandler(accelerometer_ReadingChanged); //値が変わったときに実行されるイベント
      accelerometer.Start(); //加速度センサを有効にする
}

 先ほど宣言した「accelerometer_ReadingChanged」を記述しましょう。「AccelerometerReadingEventArgs」から引数「e」を使って「e.X」のようにX方向の値を取得できます。

void accelerometer_ReadingChanged(object sender, AccelerometerReadingEventArgs e)
{
     // 別スレッドからのアクセスになるのでInvoke
     Dispatcher.BeginInvoke(new Action(ex =>
     {
         xText.Text = "X:" + e.X.ToString();
         yText.Text = "Y:" + e.Y.ToString();
         zText.Text = "Z:" + e.Z.ToString();
     }), e);
}

シミュレータで実行してみると……

 実行してみましょう。加速度シミュレータの値がエミュレータに反映されていることが分かります。

加速度シミュレータによるエミュレータでのデバッグ 加速度シミュレータによるエミュレータでのデバッグ

 もちろん、コードの変更なしに実機でも動作します。

実機での加速度センサの取得 実機での加速度センサの取得

デバイスを傾けてコントロールを移動させるには

 値が取得できたら、この値を使ってコントロールの移動に挑戦してみましょう。「Canvas」コントロールを使えば、コントロールの位置をx、y座標で指定できます。これを利用してCanvasの中に「Ellipse」コントロールを置き、傾きに合わせて移動するなどができます。

円のコントロールを追加

 先ほどのプロジェクトに追加して、「Canvas(cnvs)」と「Ellipse」コントロール(ball)、さらにballの座標を表示する「TextBlock」を設置しました。

Expression Blendで作成した加速度センサの画面 Expression Blendで作成した加速度センサの画面

傾けた座標によって円が動くようにコーディング

 Visual Studioを開いてコードを編集しましょう。「accelerometer_ReadingChanged」を変更します。座標を保存するPublic変数を追記します。

void accelerometer_ReadingChanged(object sender, AccelerometerReadingEventArgs e)
{
       // 別スレッドからのアクセスになるのでInvoke
       Dispatcher.BeginInvoke(new Action(ex =>
       {
           //加速度センサの生データ
           textX.Text = "X:" + e.X.ToString();
           textY.Text = "Y:" + e.Y.ToString();
           textZ.Text = "Z:" + e.Z.ToString();
 
           //傾き具合で速度を変化
           X += e.X * (speed + Math.Pow(2,e.X));
           Y += e.Y * (speed + Math.Pow(2,e.Y));
 
           //cnvsとのあたり判定
           if (X > cnvs.Width - ball.Width) X = cnvs.Width - ball.Width;
           if (X < 0)X = 0;
           if (-Y > cnvs.Height - ball.Height)Y = -cnvs.Height + ball.Height;                     
           if (-Y < 0)Y = 0;
 
            //ballの座標
            ballX.Text = X.ToString();
            ballY.Text = (-1*Y).ToString();
 
            //ballの移動
            ball.SetValue(Canvas.TopProperty, -Y);
            ball.SetValue(Canvas.LeftProperty, X);
        }), e);
}

実行してみると……

 実行してみましょう。デバイスの傾きに合わせてballが移動します。

傾きに合わせてCanvas内を移動するball 傾きに合わせてCanvas内を移動するball

2Dの簡単なゲームであればSilverlightでも十分開発可能

 加速度センサは、ゲームで用いられることが多いセンサです。一方でWindows Phoneのゲーム開発といえばXNAが第一候補に挙がりますが、30fpsを必要としない2Dの簡単なゲームであればSilverlightでも十分開発可能です。

 次ページでは、加速度センサを使ったジェスチャを試してみましょう。

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