「自分の時間にテクノロジを!」カテゴリを超えてテクノロジで遊ぶMakerたちの祭典、Make:Ogaki Meeting 2012の様子をレポートします
8月25〜26日、Makerたちの祭典「Make:Ogaki Meeting 2012(以下MOM2012)」が開催された。
このイベントは、オライリーの雑誌「Make: -Technology on your time-」で工作物を披露している作者・読者が集まることから始まった。2008年のMake: Tokyo Meeting(以下MTM)から数えて東京で7回、大垣では2回、計9回目の開催になり、回を重ねるごとに倍々に成長している。
「Technology on your time(自分の時間にテクノロジを)」というMake:の副題の通り、モノを作ることを楽しむムーブメントはどんどん大きくなり、日々YouTubeやニコニコ動画にさまざまなMake:作品がアップロードされ、互いの作品を見ることでさらなるMake:活動が行われている。
今回は140組を超える出展者、Makerが集まり、MOM2012は、ものづくりによる知的興奮を5000人を超える来場者と共有し合う、とても大規模なイベントになった。
筆者は初めてMake:のイベントを見たときから、さまざまな作品や何よりテクノロジを楽しむ人たちに魅了され、Make:の雰囲気が大好きになった。いろんな人をMake:に誘うようになり、MTM04からは同僚のMake:好きたちが集まったサークル「チームラボMake部」として出展していて、今回も大垣に出展することになった。
とても全部は見切れなかったが、会場の様子をレポートする。
中心スペースのセンターホールには長机が並び、100近い出展者が思い思いの作品を展示している。雑然とした空間に工作物が並ぶさまはサイバーでカオス。SF映画に出てくるジャンク市を思い出させる、ワクワクする空間が広がっている。
ニコニコ技術部の展示スペースには、さまざまな「つくってみた」「才能の無駄遣い」「愛すべき馬鹿」が並ぶ。
サーボモニタでカセットコンロのつまみを操作し、土鍋に挿した温度センサの値をマイコンで読み取りながら炊飯するニコニコ技術部 @lonely_somen さんの土鍋炊飯bot。土鍋の横の白い箱が全体をコントロールしている。まだ稼働実績はなく、「これからニコニコ動画にアップしていきます」とのこと。さまざまなメーカーから高級な炊飯器が出ているが、実際に土鍋とガスで炊くので、うまくいけば高級炊飯器よりもおいしいご飯が炊けるかもしれない。
MTMでも展示しているKohsuke's Lab.のレゴ工作「トイレットペーパーホルダーにタコメーターを搭載してみた」。トイレットペーパを回す速度で、レゴでできたメーターが上がっていく。他にも「無限にプチプチをつぶす」「たばこの葉っぱを詰めてみた。」など、名人芸のレゴ工作が並んでいた。
へけけくん&nicobowによる、ファミコンのFM音源を使った電子楽器。ファミリートレーナーを踏むと、ドラクエのセーブが消えた音など、おなじみの音が鳴る。他にもスーパーファミコンのコントローラ各ボタンに音を割り当て、楽器として使えるようにするなど、ゲーム機を楽器にしていた。音はPCM音源やFM音源をそのまま鳴らすこだわり。
ニコニコ技術部の常連 尻P(SF作家の野尻抱介先生)は、今回「スカイフック・サービス」を出展。エマージェンシーシートで作られた巨大なヘリウム気球に、2kgまでのいろいろな人の作品をつり下げて空中展示するサービスで、さまざまな作品を掲げて会場を回り、多くの人を楽しませていた。
なんと尻Pの隣のブースでは、エンジニア兼作家の@hayasita氏による 野尻先生の最新作「南極点のピアピア動画」の二次創作本も売られている。他にも会場内のあちこちで、いろんな出展者が即席コラボを行っていたようだ。
「ど根性ガエル」のように、Tシャツに描かれたカエルが動き、方向を指示してくれるTシャツ。実際に着て会場を歩き回っていた。
自作ハードウェア向けクラウドファンディングのCerevo Dashでプロジェクトが成立(量産決定)したことで話題のAndroid対応ハードウェア押しボタン、FOURBEATも出展。Android上で早押しクイズなどが楽しめる。
アメリカのMake:イベント「Maker Faire」では、さまざまなブースで「クラウドファンディングのKickstarter出展中!」の張り紙が見られた。クラウドファンディング出展中のプロジェクトにとって、こういうイベントで支援者を集めることはとても大事なので、国内でもクラウドファンディングとMake:の関係はもっと深くなっていくと思う。
日本Andoridの会秋葉原支部からは、Androidと通信するロボットやセンサ、マイコンボードなどが多く出展されていた。PDA、ガジェット系とMake:はとても相性が良く、長い時間ブースにとどまって細かい質問をする人が多かったように思う。
隣には、どっとNETまいくろバンザイ倶楽部によるWindows系とガジェットをつなげる、.NET Gadgeteerの展示も。AndroidとWindows Phoneは並んでいて、iPhoneとつなげるブースは隣り合っていないのが何か面白い。Windows 8は、PDAや携帯電話で多く使われるARM系CPUも本格的にサポートするとのことで、Windowsにつながる電子工作も盛んになるかもしれない。
高エネルギー技術研究室がレーザープロジェクターで会場の壁面に投影するBad Apple!!の初音ミク映像と、SRSIVの電飾初音ミクコスプレがコラボ。音声に合わせてLEDが光る。そういえば、東京のMake:に比べると初音ミク成分は全体的に少なめだった。
今回チームラボMake部では、トイレにネットワークに接続した人感センサを仕掛け、インターネット越しに自席のPCからトイレ個室の空き状況が分かるシステム「ヘブンズ・ドア」の出展とプレゼンを行った。
「オフィスのトイレの空き状況を、席を立つ前に自席から確認したい」という、かなり限定的なニーズに対応するソリューションだ。多くの人がブースに訪れて、「うーん、オフィスに置くのだと会社の許可が取りづらいかも」「人感センサを生かして、トイレ以外で使っても面白いんじゃないか」などのアドバイスなどを寄せてくれた。
「Radiation-watch.org」による、iPhoneやAndroidにつながるポケットガイガーカウンターの展示・販売。ガイガーカウンターの自作は今トレンドのようで、Arduinoにつながるものなど、いろいろな出展者が展示していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.