物理環境におけるバックアップ/リストアの各種機能は、どのようなデータを保護するかによって、得意分野と不得意分野が分かれる。また、バックアップ対象のデータ自体も、大きく分けて「システム領域」「データ領域」の2種類に分類できる。さらにOS種別、データ種別によって詳細なカテゴリに分類できる(表1)。
領域種別 | 系統種別 | 詳細 |
---|---|---|
システム領域 | Windows系列 | Windows |
Linux系列 | RedHat | |
SUSE SLES | ||
CentOS | ||
UNIX系列 | Solaris | |
FreeBSD | ||
その他 | MAC OS X | |
NetWare | ||
データ領域 | データベース系 | Oracle Database |
IBM DB2 | ||
Informix | ||
Sybase ASE | ||
Microsoft SQL | ||
グループウェア系 | Exchange | |
SharePoint | ||
Lotus Notes/Domino | ||
SAP | ||
ファイル系 | ファイルシステム上のファイル | |
表1 バックアップ対象データの種類 |
仮想基盤においても同様で、バックアップ対象がシステム領域なのかデータ領域なのか、また、それぞれをどの程度のバックアップ頻度、リストア粒度、リカバリ時間で提供すべきかを検討し、SLAを決定する。
また、バックアップ対象のデータ領域に応じて、提供されている機能の範囲が異なる点も考慮しなければならない。
上述の3方式は、バックアップ方法の違いから、得意なデータ領域やシステムがそれぞれ異なっている。以降で、それぞれを見ていこう。
システム領域を得意とするのは、「ストレージ機能連携型」と「仮想機能連携型」だ。もともと仮想化では、各仮想マシンがシステム領域を含めて単一のファイルにカプセル化されているため、このファイルのリストアができれば、システムリストアが完了する。
「ストレージ機能連携型」では、ストレージ内のスナップショット技術などを活用することによって、短時間でこのカプセル化した仮想マシンファイルのバックアップやリストアが可能になる。ストレージのスナップショット技術は、もともとブロックレベル差分のみを保持する仕組みであるため、バックアップのために必要なストレージ容量という観点でも効率的だ。
「仮想機能連携型」に関しても、共通化したAPIを通じて、カプセル化した仮想マシンファイルのバックアップやリストアが可能だ。仮想マシン上のシステムの一部にデータ破損があっても、例えばCBTのブロックレベル差分のリストアを適用すれば、短時間でのリストアも可能になってきている。
一方、「バックアップエージェント型」では、システムリストア時にはCDなどの別の起動メディアでいったんバックアップエージェントを起動した上でリストアを実行するという手順を踏む必要がある。このため、上記2方式と比較すると手順が煩雑になる。バックアップエージェント型野バックアップは、仮想化環境下ではあまり積極的に選択しない手法になってきている。
データを対象としたバックアップ/リストアを得意とするのは、バックアップエージェント型だ。Oracle Database、Microsoft SQL Server、IBM Lotusなど主要なアプリケーションのデータを認識するエージェントが提供されており、アプリケーションデータの統合的なオンラインバックアップが可能だ(図4)。
リストアはアプリケーションデータを特定して、細かな単位で実施できる。また、アプリケーションデータ部分のみをテープメディアなどで外部保管する運用にも適した手法である。
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