日本オラクルは10月30日から2日間、Oracle Days Tokyo 2012を開催しました。そこで大きく発表されたのがOracle Exadata X3 Database In-Memory Machineです。10月29日から国内提供開始となりました。写真はマシンの横で熱く語る同社 専務執行役員 製品事業統括 三澤智宏氏です。小さくて見にくいですが、ロゴマークの下には「EXADATA X3-2」と書かれています。
このExadataは「X3」とありますが、実は4代目。イメージとしてはスーパーカーのようなものでしょうか。パワフルで速く、そしてあらゆる部品やソフトウェアが最適な形で組み上げられた「完成形」として提供される、「垂直統合」の製品です。
X3は先代のX2と同一のアーキテクチャから増強を加えつつも、価格はX2と同じです(気軽に買えるものではありませんが)。機能強化の中でも、フラッシュメモリ容量が従来比で4倍、ラックあたり最大22TB搭載可能になっています。加えて、DRAMが最大4TB搭載可能ですから、22+4=26と、26TBがオンメモリ領域にあることになります。さらに、10倍のデータ圧縮が可能なので、26×10、つまり最大で260TBのデータをメモリに乗せることができます。おおかたの業務アプリケーションの処理などはほぼオンメモリで実行できる規模です。
また、ソフトウェアにも改良が加えられており、Flashのキャッシュ書き込み性能は20倍に高速化しているそうです。ソフトウェアの改良ですから、既存のV2、X2マシンであっても適用できるもののようです。
性能強化以外でも、利用しやすさを追求した発表がありました。これまでは、1台未満のモデルにはハーフとクォーターがありましたが、X3では新しく8分の1モデルが登場しました。正確には「Oracle Exadata X3-2 Eighth-Rack」です。「そんなに大容量は要らない」または「開発環境用に」という声に応えたもので、値段はおよそ2000万円とのこと。
ところでExadataで使われているデータベースは今のところOracle Database 11gです。しかし「次」が見えてきました。
ご承知の通り、2012年10月にサンフランシスコで開催されたOracle OpenWorldでは次期版となる「Oracle Database 12c」が発表されました。イベントには同社 データベースサーバー技術担当 シニア・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏も来日して12cのポイントを紹介しました。
技術的にはデータベースが「プラガブル」になるところが象徴的です。デモではデータベースがUSBメモリのようなイラストになっており、「抜き差し自由」なイメージで表されていました。「コンテナ」データベースに「プラガブル」なデータベースが入るような形になっており、プラガブルデータベース単位で移動が自由にできます。
コンテナデータベースがプラガブルデータベース全体を包括するもので、固有のデータはプラガブルデータベースにあり、個別に管理できます。システムの一元管理と個別に柔軟に管理することを両立するための仕組みといえるでしょう。
名前に「12c」とあるように、やはり意識しているのは「クラウド」。12cのコンセプトとしてはクラウド環境で使うために必要な機能を12cに盛り込んでいるようです。ただ私感としては「c」は「consolidate(統合)」の意味もあるのではという気がしています。
オラクルにとってイチオシの製品はExadataであり、このパワフルなマシンがあればシステムやデータベースを統合して運用できるのがウリです。Oracle Database 12cはその特徴や利点をさらに追求するために必要な機能を盛り込んだようにも見えます。個人的には「cloud」よりも「consolidate」にオラクルの自負を感じます。
とはいえ、12cは12cなのであまり気にしなくてもいいのでしょうけど。いずれにしても、12cについては追って詳しくレポートできればと思います。
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