最後に、少し特殊なデータ更新の構文を紹介します。2つの表を比較して、一致する行が存在しなければINSERT、一致する行が存在すればUPDATEする、「MERGE」という構文です。
MERGE文を試すために、新たに「MY_PROD」(商品表)と「MY_PROD_UPDATE」(商品改定表)という新しい表を作成しましょう。「MY_PROD」は商品マスターです。一方、「MY_PROD_UPDATE」には、新しく追加する商品や、価格更新する商品の情報が記録されています。定期的に商品の種類や価格を更新するため、「MY_PROD_UPDATE」に新しく追加する商品や、価格更新する商品の情報を入力し、MY_PRODに反映させることをイメージしてください。それでは実際に、以下のSQL文をコピーして、表を作成し、初期データを挿入しましょう。
CREATE TABLE my_prod (prod_id number(3), prod_name varchar2(25), price number(6) ); CREATE TABLE my_prod_update (prod_id number(3), prod_name varchar2(25), price number(6) ); INSERT INTO my_prod VALUES(1,'えんぴつ',50); INSERT INTO my_prod VALUES(2,'消しゴム',100); INSERT INTO my_prod VALUES(3,'下敷き',200); INSERT INTO my_prod_update VALUES(1,'えんぴつ',70); INSERT INTO my_prod_update VALUES(4,'シャープペンシル',150);
間違えてしまった場合や、やり直したい場合には、次のSQL文を使って一度表を削除し、作成し直してください。
DROP TABLE my_prod; DROP TABLE my_prod_update;
検索すると、以下のような「MY_PROD」表と、「MY_PROD_UPDATE」表が作成されたことが分かります。
SELECT * FROM my_prod;
SELECT * FROM my_prod_update;
それでは、MERGE文を使って、「MY_PROD」表に、「MY_PROD_UPDATE」のデータを反映させましょう。MERGE文では、2つの表を比較し、一致するデータがある場合は更新(今回の例では、すでにMY_PROD表に登録されている商品であれば、価格の改定)を、一致するデータがない場合には挿入(MY_PROD表に登録されていない新規商品であれば新たに追加)を行います。このように「一致するデータがある場合には更新」「一致しないデータがある場合は挿入」という処理を、MERGE文では以下のような構文で記述します。
MERGE INTO 更新する表 USING 参照する表 ON (更新する表と参照する表を結合する条件) WHEN MATCHED THEN UPDATE・・・ WHEN NOT MATCHED THEN INSERT・・・
それでは実行してみましょう。UPDATE句とINSERT句の書き方が今までと少し異なるので注意してください。下記のように指定すると、「my_prod_update(uという別名を指定)を使って、my_prod(pという別名を指定)表に対してマージ操作を行う。一致するデータがあれば(商品が既に登録されていれば)、my_prod(p)のprice列に、my_prod_update(u)の改定後価格を更新する。一致するデータがなければ(まだ商品が登録されていなければ)、my_prod(p)の各列にmy_prod_update(u)の値を新規挿入する」という意味になります。
MERGE INTO my_prod p USING my_prod_update u ON (p.prod_id=u.prod_id) WHEN MATCHED THEN UPDATE SET p.price=u.price WHEN NOT MATCHED THEN INSERT (p.prod_id,p.prod_name,p.price) VALUES (u.prod_id,u.prod_name,u.price);
それでは、MY_PROD表のデータを確認してみましょう。
SELECT * FROM my_prod;
結果を確認すると、「えんぴつ」の値段が更新され、さらに新たに「シャープペンシル」が追加されていることが分かります。
今回のように、既存の表データを基にINSERTやUPDATEを行いたい場合には、MERGE文を使うと便利です。単に1つの構文で実行できるだけでなく、データベース内でも1回の処理で行われるため、パフォーマンス面でもメリットがあります。ぜひ使ってみてください。
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