国技館を丸1日使って競技が行われる。同じルールの下、勝利を目指して各チームが全力を尽くす、競技としての側面ももちろん強い。
さまざまなロボットのアイデアを楽しむ1回戦に対し、ベスト8同士の戦いになる準々決勝あたりから会場の雰囲気が張り詰め始め、競技っぽい色がますます濃くなる。
準々決勝ぐらいになると、どのロボットも点数ではパーフェクトを出すことが前提になり、タイム勝負になる。ロボットの機構にも共通点が目立ち始め、シュートは「9つのボールをまとめてセットし、一度に投げ入れる」タイプ、移動は低重心で足の設置面積が大きいタイプが主流になる。ブレイクショットでボールがどのように散らばるか、散らばったボールをどのように取りに行くか、運や操作者の技量で勝負がつくことも増えてくる。
決勝に残ったのはこの2台のロボットだ。
1回戦から圧倒的な強さを誇ったのが牛型ロボットのMOOSTAR(熊本高専八代キャンパス)だ。
低重心で素早く動く足(代々受け継がれてきた、伝統のカム機構)、赤外線センサを用いて人間が細かくコントロールする駆動により、3分の制限時間に対して、1回戦から毎回20秒〜30秒台でパーフェクトを達成、圧倒的な強さで決勝まで勝ち上がった。MOOSTARのように、人間が細かく制御することを想定したロボットは、伴走者のスキルが重要になる。
八代高専の応援団は大会の最中、決勝の前に飛行機の関係で国技館を後にしたのだが、「われわれは会場を後にするが、そのロボット MOOSTARと、800回の練習は君たちを裏切らない!」との熱い言葉を残していった。
そのMOOSTARを決勝で破ったのが、一関高専の椀子兄弟だ。モチーフは岩手のゆるキャラ「そばっち」。
1回戦では30秒台だったが、尻上がりに調子を上げ、決勝戦ではついにMOOSTARを破って見事、20年ぶり2回目の優勝に輝いた。ボールを受け取るごとにそばっちがクルクル回るアクションも分かりやすく、バトルを重ねるたびに応援する声も大きくなっていった。
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