米デルは12月第3週に米テキサス州オースティンで開催した「Dell World」で、統合仮想化インフラ製品「Active System」を紹介した。こうした製品が、デルのサーバ、ストレージ、ネットワーク製品ビジネスの軸になっていくという。
米デルは12月第3週に米テキサス州オースティンで開催中の「Dell World」で、統合仮想化インフラ製品「Active System」を紹介した。これは同社が10月に発表し、米国で11月に提供開始したもの。日本を含むその他の地域では2013年2月に提供開始の予定。
Active Systemの実体はデルのブレードサーバ「PowerEdge Mシリーズ」、ストレージの「Dell Compellent」あるいは「Dell EqualLogic」などを組み合わせ、専用のハードウェア設定・管理ツール「Active System Manager」を添付したパッケージ。顧客のニーズに合わせて具体的な構成はカスタマイズできる。デルは一方で、「Active System 800」も発表している。同製品はEqualLogic、Force10を使って決め打ちの構成としたもの。
デルはActive Systemの発表後、11月にワークロード管理ツールのGale Technologiesを買収。この技術をActive Systems Managerに統合し、テンプレートに基づく仮想マシンの作成と展開を容易にするという。また、導入済みの他社プラットフォームを取り込んで、統合的な仮想化ITインフラを構築・運用できるようにしていくとしている。
デルのエンタープライズ・ソリューションズ・グループのプレジデントであるマリウス・ハース(Marius Haas)氏は、シスコのUnified Computing System(UCS)およびこれを使ったVCE製品、そしてHPのHP Active Matrixといった競合製品について、これらは運用段階における一定の効率を達成してはいるものの、導入コストは大きく、独自の技術を使っているためベンダロックインが発生すると批判した。これに対し、デルのActive Systemはオープンで、導入コスト、運用コストのどちらも低いというのが同社の主張だ。
デルはActive System Managerの導入自動化機能により、利用開始までの作業は16ステップで済むとしている。これに対し、HPは65ステップ、シスコは39ステップが必要だという。ワット当たり性能はHPより26%、シスコより45%優れているという。さらに、ラック当たりの密度は、シスコの2.3倍、HPの2倍だと主張している。
デルは過去数年、EqualLogic、Compellent Technnologies、Force 10 Networksなどの買収により、ストレージおよびネットワーク製品を強化してきた。これにより、ストレージ、ネットワーク製品の売り上げは、急拡大している。
だが、上記のような統合仮想化インフラ製品が、デルのサーバ、ストレージ、ネットワーク製品ビジネスの軸になっていくと、ハース氏は話した。ITインフラ製品をばらばらに導入して設定するのではなく、事前に検証済みの構成で一括調達し、迅速に利用し始められるようにすることが、ITのシンプル化とビジネスへの貢献度向上につながるからだという。
ではこれは、今後デルがより大規模な顧客に注力していくことを意味するのだろうか。ハース氏は否定する。
「どんなサイズの顧客にとっても、機器を大幅に入れ替えることなく、スケールアップ/スケールダウンできるということこそ重要だ。小規模な企業も、低い価格ポイントで、これまで大企業の顧客にしか使えなかった機能を利用したいと考えている」。デルは統合仮想化インフラ製品を軸としてITインフラ製品群を展開することで、あらゆる規模の企業のこうしたニーズに応えたいのだという。
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