最新のPOWER7+チップ搭載のミッドレンジサーバが登場。最新ハードウェアを搭載しながら中堅市場向けの価格設定になっているのがポイントだ。
日本アイ・ビー・エムは2013年2月6日、同社が開発した最新プロセッサであるPower7+を搭載した、エントリ〜ミッドレンジ向けUNIXサーバ製品群を発表した。
POWER7+チップ搭載のハイエンドモデルについては2012年10月に発表済みだが、今回はこれを中規模企業向けに展開した形になる。出荷開始は2月20日(Power 760、Power 750 Expressのみ3月15日)を予定している。
同製品群の最大の特徴は価格帯での提供と低消費電力化にある。最小構成である「Power 710 Express」で83万7700円と、「商用PCサーバ機と比較してもそん色のない価格帯」(日本アイ・ビー・エム システム製品事業 パワーシステム事業部 理事 皆木宏介氏)。
今回のラインアップでは、未起動プロセッサを任意に1コア単位でアクティブ化する機能(キャパシティ・アップグレード・オン・デマンド)や、Power VMの機能を使って、稼働中のVMを筺体をまたいで再配置する機能も提供する。これにより、コア数ベースのライセンス形態を持つミドルウェアでは、ライセンスコストを低く抑えられる利点がある。
日本IBMでは、国内中堅企業に向けたサポートの拡充を推進している。現在は日本IBMが直接、国内4拠点に支社を置く体制をとっている。IT専門の人材を抱えにくい中堅企業の実情を考慮し、「移行総合技術センター」を設置、1カ月程度の無償コンサルティングプログラムなどを通じ、現状のIT環境のアセスメントやIT戦略策定、システムデザインやROI算出資料を無料で提供し、広く中堅企業のIT戦略策定支援を行っている。
会見で登壇した日本アイ・ビー・エム 常務執行役員 システム製品事業担当 三瓶雅夫氏は「(移行総合技術センターを通じた)ワークショップは年間約300件実施し、実際に何らかのIBM製品への移行を決定した顧客は2006年以降で約7900件」と、その成果を示した。今回のミッドレンジサーバラインアップも、この中堅企業向けの事業戦略と密接にリンクした体制で展開される見込みだ。
POWER7+はeDRAM L3キャッシュの容量が従来版と比較して2.5倍と大容量化しているのが特徴。POWER7搭載の同等モデルと比較した場合、SPECint_rate2006ベンチマークにおいて約90%の高速化が実現しているという。
また、Power Systems製品群には、エネルギー効率を高める目的で、TPMD(Thermal Power Management Device)という、消費電力と温度管理に特化したモジュールを搭載しており、処理の負荷状況などを考慮して独自にクロックなどの制御を行っている。これに加え、POWER7+では消費電力低減のため、パワーゲートの個別制御を、L3キャッシュにも適用している(Winkleステート、L3キャッシュの8分の1程度の通電を停止しておける)。
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