Backblazeは、2024年第4四半期と年間の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。
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クラウドストレージやクラウドバックアップサービスを提供するBackblazeは2025年2月11日(米国時間、以下同)、2024年第4四半期と年間の自社データセンターにおけるデータドライブの統計レポートを発表した。
2024年12月31日時点で、Backblazeは世界のデータセンターで30万5180台のドライブを管理していた。そのうち4060台が起動ドライブ(SSDとHDD)、30万1120台がデータドライブ(全てHDD)だ。同レポートではデータドライブに焦点を当て、2024年第4四半期の故障率、2024年の年間故障率、2022年、2023年、2024年の故障率の比較、2022~2024年のドライブサイズ別故障率の推移、メーカー別故障率の推移、生涯故障率を報告している。
Backblazeは、2024年末時点で顧客データの保存に使用していた30万1120台のHDDから以下の487台を除いた30万633台のHDDを分析し、これらを構成する30種類のモデル別に2024年第4四半期の年間平均故障率(AFR:Annualized Failure Rate)を算出した。
除外された487台のドライブの内訳は以下の通り。
2024年12月初旬にSeagate Technology(以下、Seagate)の24TBドライブモデル(ST24000NM002H)1200台を導入した。これらのうち12月末までに故障したドライブはなかった。他の20TB以上のモデルには、東芝の20TBモデルとWestern Digital(WDC)の22TBモデルがある。
2024年第4四半期にはSeagateの24TBドライブモデルをはじめ、5つのモデルで故障がなかった。故障しなかったのは、HGSTの4TBモデル(HMS5C4040ALE640)、Seagateの8TBモデル(ST8000NM000A)、14TBモデル(ST14000NM000J)、16TBモデル(ST16000NM002J)だ。いずれも使用台数や総稼働日数が比較的少ないが、好ましい結果であることに変わりはない。
4TBドライブの台数は2024年第4四半期に1774台減少し、残りの約4000台のドライブも、2025年第1四半期末までに全てなくなる予定だ。これらは、新たに導入される20TB、22TB、24TBドライブに置き換えられる。
2024年第4四半期のAFRは、第3四半期の1.89%から1.35%へと低下した。全てのドライブサイズで第3四半期から第4四半期にかけて改善が見られた。主な要因の一つは、20TB以上の新しいドライブが1万4000台以上追加されたことだ。これらのドライブをグループとして見ると、第4四半期のAFRは0.77%だった。
Backblazeは、2024年末時点で顧客データの保存に使用していた30万1120台のHDDから、以下の2012台(9モデル)を除いた29万8954台のHDDを分析し、これらを構成する27種類のモデル別に2024年のAFRを算出した。
2024年に故障しなかったドライブモデルはなかった。ただし、Seagateの16TBモデル(ST16000NM002J)は、第3四半期にわずか1件の故障が発生しただけで、2024年のAFRは0.22%となった。
2024年にBackblazeのデータセンター技術者は、5万3337台のドライブを設置した。単純に365で割ると、1日当たり平均146台設置してきたことになる。
2022年、2023年、2024年のAFRを比較した表は下記の通り。この表には、2024年末時点で年間のAFRの集計基準(使用台数250台以上、2024年のドライブの総稼働日数が5万日以上)を満たしたドライブモデルのみが含まれている。各年のデータは、各年末時点で稼働中のドライブモデルについて、その年のみを含んでいる。表は、まずドライブサイズ、次にAFRでソートされている。
2024年の全ドライブのAFRは1.57%となり、2023年の1.70%から低下した。Backblazeは、2025年も全体的なAFRは引き続き低下すると予想しているが、指標として以下の点に注目していくとしている。
2025年に全てのモデルの使用期間が5年を超えるが、一般的に、使用期間が5年を超えたドライブは故障率が顕著に上昇する。
これらのモデルは、使用期間が3~5年となる。バスタブ曲線によると、この時期は故障率が徐々に上昇する可能性があるが、5年を超えた場合ほど深刻ではない。
これらのドライブはバスタブ曲線の横ばい部分に入り、故障率は最低になると見込まれる。
Backblazeは、HDDのサイズ別のAFRについて、2022~2024年の四半期ごとの推移を次のように示している。
4TBドライブ(青色)と10TBドライブ(金色)は、いずれも比較的少数であるため、全体的なAFRに与える影響はここ1年、ほとんどなかった。それでも、10TBドライブのAFRの激しい変動にBackblazeの技術者は注意を払っている。
8TBドライブ(灰色)と12TBドライブ(紫色)は、使用期間が5~8年に達しており、全体的なAFRは時間とともに上昇するはずだ。実際、12TBドライブは、2021年に約1%だったAFRが2024年には約3%まで上昇している。一方、8TBドライブのAFRは、四半期ごとに多少の変動はあるが、ほぼ横ばいの傾向を示している。
14TB(緑色)および16TB(水色)ドライブは、稼働中のドライブの57%を占め、使用期間が平均2~4年であり、いわば働き盛りだ。バスタブ曲線によると、故障率は低く安定しているはずだが、実際そうなっている。
22TBドライブ(オレンジ色)は、具体的にはWDCのモデル(WUH722222ALE6L4)を指しているが、定期的に追加し続けており、全体として導入初期段階にある。ドライブ台数が落ち着いてくれば、AFRの傾向がより明確に見えてくると考えられる。それでも、これまでの生涯AFRは1.06%と堅実な数字を残している。
Backblazeは、HDDのメーカー別のAFRについて、2022~2024年の四半期ごとの推移を次のように示している。
全体像を把握するために、以下のグラフでは同じデータを使用しているが、同じ3年間における各メーカーの直線的な傾向線のみを表示している。
HGSTの傾向線はあまり良くないが、最初のグラフを見ると、2023年第4四半期までは、HGSTドライブは全ドライブ(全メーカー)の平均値を下回り、それ以降、平均値を上回るようになった。下の表は、2024年のHGSTドライブの統計結果のみを示している(AFRが高い順)。
この表は、HGSTドライブのAFRが高くなっているのは、2つの12TBモデルが原因であることを示している。HUH721212ALN604モデルは、2023年第1四半期に四半期AFRが上昇する兆候を示し始め、HU721212ALE604モデルは、2024年第3四半期にこれに続いた。これらのモデルがなければ、HGSTドライブの2024年のAFRは0.55%となる。
2022~2024年にSeagateドライブの四半期AFRの傾向線は、わずかながら下降した。Seagateは、こうした傾向を示した唯一のメーカーだ。この下降の一因は、この期間にSeagateの4TBドライブの置き換えを進めたことにあると思われる。
2022~2024年に東芝のドライブの四半期AFRは、0.80%から1.52%のかなり狭い範囲で変動し、ほとんどの四半期は1.2%前後で推移した。最も重要なのは、東芝のドライブモデルの四半期AFRが、最も高かったものでも1.58%であり、個々のドライブモデルに異常値はなかったことだ。
2022~2024年にWDCのドライブは東芝と同程度の安定性を示したが、四半期AFRは0.0%から0.85%の範囲に収まり、より低かった。0.0%を記録したのは2022年第1四半期で、この四半期に稼働したWDCドライブ1万2207台は、全く故障しなかった。
Backblazeは、2024年末時点で顧客データの保存に使用していた30万1120台のHDDから、以下の2736台(11モデル)を除いた29万8230台のHDDを分析し、これらを構成する25種類のモデル別に、2024年末までの生涯AFRを以下のように算出した。
除外された2736台のドライブの内訳は以下の通り。
全ドライブモデルの2024年末までの生涯AFRは1.31%となり、2023年末までの1.46%から低下した。2024年にSeagateの4TBモデルの置き換えがほぼ完了したことが主な要因だ。2024年末時点で稼働していたSeagateの4TBモデルは2台のみとなった。
Seagateの4TBモデルの2023年末までの総稼働日数は7900万日で、この間の故障件数は5600件以上だったが、このデータは、上の表(HDDの2024年末までの生涯AFR)には含まれていない。
次にBackblazeは、上の表(HDDの2024年末までの生涯AFR)から、生涯AFRが1.50%以下のドライブモデル17種類を抜き出し、次のように示している。
Backblazeは、この表を見る際の注意点として、以下を挙げている。
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