Hinemosは、NTTデータが開発する統合運用管理ツールで、今回紹介するプロダクトの中で唯一日本製です。プロダクト名の語源は、江戸時代初期の剣豪・柳生宗矩の著書『兵法家伝書』にでてくる「終日(ひねもす)」から取られています。
Hinemosが他の運用管理ツールと異なるのは、Eclipse RCPで開発された専用のクライアントソフトウェアを端末にインストールして利用します。Eclipse RCPによるリッチなGUIが利用できます。
運用管理で必要となるサーバの死活監視、性能監視と時系列のリソース利用状況の表示などが行えます。
他のオープンソースのツールにはない特徴としてジョブ管理機能を持っています。複雑な処理を複数のジョブの組み合わせで定義したり、定時実行される処理をジョブとして作成できます。ジョブは、手動、スケジューラで実行できる他、監視結果を受け実行することもでき、例えば、システムに障害が発生したときのフェイルオーバの処理などもジョブで実行できます。
最新のHinemos 4.0から提供されたジョブマッピングオプションを利用すれば、ジョブの関係をグラフィカルに表示でき、直観的に分かりやすくなっています。
ジョブによる複雑な処理の自動化やスケジュール化は、DevOpsにおける運用の自動化で活用できます。また、有償のVM管理オプションを利用することにより、仮想環境やプライベートクラウドの管理も行えます。VM管理オプションによってサポートされるハイパーバイザは幅広く、VMware、Xen、Oracle VM、Hyper-V、KVMを利用できます。
また、2013年4月予定のクラウド管理オプション「AWS対応」により、世界中のAWS上のリソースがHinemosで管理できるようになります。
Hinemosは、NTTデータおよびNTTデータグループのサポートがあることはもちろん、NTTデータグループ以外にも13社以上からサポートや構築支援サービスが提供されています。Hinemosは、付加価値のあるオプションは有償での提供となっていますが、魅力的なオプションも多いです。本格的な運用監視をしたい場合は、オプション含めて導入を検討すると良いでしょう。
Hyperic HQは、Hyperic社により開発されていた運用管理ツールです。Hyperic社はSpring Frameworkの開発元として知られるSpringSourceに買収され、その後SpringSourceがヴイエムウェアに買収されたため、現在はヴイエムウェアにより開発されています。
Hyperic HQは、ヴイエムウェアがサポートする「Hyperic Enteprise」とオープンソース版の「Hyperic Open Souce Edition」の2つがあります。
注:最新版は、5.0ですが、Hyperic公式サイトで提供されているオープンソース版は、4.6で古いバージョンとなっています。最新版は、SourceForgeのサイトからダウンロードできます。
Hypericは、サーバやサービスなどがあらかじめ定義されているため、データベース、アプリケーションサーバといったミドルウェアや、LDAP、DHCP、DNS、ファイルサーバなどのサービスを指定するだけで、そのミドルウェアやサービスを適切に監視できます。
前述のZabbix、Hinemosと比べると、サービスやサーバを指定し、サービス、サーバで必要な監視項目を1度にまとめて設定できるなど、“1つ上のレベルの監視”を提供しています。Hyperic HQの利用には、監視対象のサーバへエージェントのインストールが必要となり、SNMPやポート監視など、基本的な監視はエージェントなしでできるZabbixやHinemosと異なります。
仮想環境の監視では、XenやVMWareのホスト/ハイパーバイザの監視をサポートしています。表示は英語のみで、日本でのサポートや情報も少ないので、利用の際は注意が必要です。
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