日本のベンチャー企業がCG研究の権威を招へいする。スマートデバイスとHTML5の普及を前に、最先端の研究成果をプロダクトに取り込む狙い。
HTML5をベースにしたゲームエンジン「enchant.js」の開発などを手掛けるユビキタスエンターテインメントが、自社の研究組織「UEIリサーチ」を2013年4月1日に設立、コンピュータグラフィックスの研究者として著名な西田友是氏を所長として迎える。UEIリサーチの設置により、最先端の研究成果を製品開発にフィードバックするとしている。
西田友是氏は、「ラジオシティ法」というCGにおける照明表現の計算手法の考案者の1人。照明表現としては他にレイトレーシング法などがあり、西田氏はレイトレーシング法の一部の表現手法についても貢献がある。長年のCG研究への貢献が評価され、2005年には、米国コンピュータ学会コンピュータグラフィックス分科会が開催するカンファレンス「SIGGPARH」においてクーンズ賞を受賞している。また、日本の画像電子学会では、西田氏の名を冠した「西田賞」が設けられている。
同社プレスリリースでは「民間企業がこうした専門のCG研究機関を設置する例は、ディズニーリサーチ、マイクロソフトリサーチなど海外では例がありますが、日本のベンチャー企業では唯一の専門研究機関」だとしている。
今回の研究機関設立の意図として、同社では「スマートフォンやタブレットデバイスの高性能化によって高度なCG技術がスマートフォン/タブレットのユーザーインターフェイスの世界にも入り込んで来ることを見越し、国際競争力を確保するためには積極的な特許戦略を考慮していく」ことを挙げている。
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