セッション「Java The Night」はJava Day Tokyoの夜に確保されていたが内容については当日の開催時刻まで明かされていなかった。イベントの最後を締めくくるこの枠で行われたのは、いわゆる「LT(ライトニングトーク)大会」で、日本オラクルより選ばれた9チームが「Javaに関連すれば何でも」というお題目で数々の技術を披露した。
発表の内容はpdfにJavaFXでエフェクトを付けてプレゼンテーションできるツールや解析、モニタリングツールなどさまざまであった。
各セッションではJava技術のさまざまな応用方法や視覚的演出によって、驚きやどよめきであふれた。印象的だったのは多くの発表がJavaの新しいGUIツールキットであるJavaFXと絡めていたことだ。Java Appletの成功と衰退の後、「目に見えない」サーバサイドでひたすら普及してきたJavaだが、ここに来てまた「目に見える」GUIアプリケーション基盤として盛り上がる兆候が垣間見えた。
Java The Nightの表彰後、最後にサプライズとして寺田氏より報告があった。2011年にリリースされたJava SE 7だが当日をもってJavaDocの日本語版を公開したという。
オラクルがサン・マイクロシステムズを買収した後にリリースしたJava SE 7からは日本語のJavaDocが公開されておらず日本の開発者から失意の声が聞かれていた。「オラクル本社との長期にわたる折衝や日本の開発者の声もあって、ついに実現した」と感慨深く寺田氏は語った。
今回の「Java Day Tokyo 2013」、イベント参加者は、ゆうに千人を超えており、大変活況だったといえるだろう。Ruby on RailsやNode.jsなどJava以外の技術が注目されることの多い今も、Java技術者の勢いは衰えないことを再認識させられた1日だ。正直なところ昨年秋のJavaOne 2012と重複する内容も多かったが「かゆいところに手が届く」リリースであるJava EE 7登場前夜ということもあり、最新仕様の話に技術者たちの鼻息は荒かった。
また長年サーバサイドのプラットフォームとして重宝されてきたJavaだが、JavaFXによるデスクトップアプリケーション事例、Raspberry Piなど組み込みへの応用など適用範囲の広がりが見えてきたのも今回のイベントの特色だ。
5月23日にFeature CompleteバージョンがリリースされたJava 8、そしていよいよ6月13日の記念イベントをもってローンチされるJava EE 7など明るいニュースは多い。今後のさらなるJavaの盛り上がりに期待していきたい。
山本裕介
Twitter APIのJava向けライブラリ「Twitter4J」やトラブルシューティングツール「侍」などを開発するオープンソースソフトウェアデベロッパ。
株式会社サムライズム代表。
Twitterアカウント:@yusuke
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