WebSocket、組み込み、並列処理で進化するJava、そして最強のIDEはどれだ?Java Day Tokyo 2013まとめレポート(2)(5/5 ページ)

» 2013年06月11日 18時00分 公開
[山本裕介株式会社サムライズム]
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ミニ四駆の発表もあったライトニングトーク大会「Java The Night」

 セッション「Java The Night」はJava Day Tokyoの夜に確保されていたが内容については当日の開催時刻まで明かされていなかった。イベントの最後を締めくくるこの枠で行われたのは、いわゆる「LT(ライトニングトーク)大会」で、日本オラクルより選ばれた9チームが「Javaに関連すれば何でも」というお題目で数々の技術を披露した。

Java The Nightにおいて優秀チームには小粋なトロフィーが贈呈される

 発表の内容はpdfにJavaFXでエフェクトを付けてプレゼンテーションできるツールや解析、モニタリングツールなどさまざまであった。

G1GCのログを可視化するツールのプレゼンをしている徳益芳郎氏(プレゼン資料はこちら
一番若手(大学生! の北海道大学 情報科学研究科 千葉優輝氏と北見工業大学 情報システム工学科 小野貴史氏)の発表はプレゼンテーション自体に発表対象のツールである「pdFx」を利用(プレゼン資料はこちら
美しいUIが評判となったGlassFishの監視ツールのプレゼンをしているノーチラス・テクノロジーズ 青江崇氏(プレゼン資料はこちら
往年のJavaガジェット、「Sun SPOT」を使ったハックのプレゼンを行う九州工業大学の小出洋氏(プレゼン資料はこちら
JavaFXベースの自作プレゼンツールを披露する日本唯一のJava Champion 櫻庭 祐一氏。手にしているのは大変貴重なDukelele(JavaのマスコットキャラクターDukeのウクレレ)(プレゼン資料はこちら
障害解析支援ツール「HeapStats」のプレゼンを行う末永恭正氏(プレゼン資料はこちら
GlassFishのクラスタリングの限界に自宅サーバで(!)挑戦した、GlassFishユーザ・グループ・ジャパンの蓮沼賢志氏(プレゼン資料はこちら
今熱いRaspberry Piで「JamVM」、そしてJamVMの上でJettyなどを動作させた太田 昌文氏(プレゼン資料はこちら
最後2分までJavaとは関係ない話で突き進んだものの大変な盛りを見せたセッション。講演は、ニューキャストの奥清隆氏(プレゼン資料はこちら

 各セッションではJava技術のさまざまな応用方法や視覚的演出によって、驚きやどよめきであふれた。印象的だったのは多くの発表がJavaの新しいGUIツールキットであるJavaFXと絡めていたことだ。Java Appletの成功と衰退の後、「目に見えない」サーバサイドでひたすら普及してきたJavaだが、ここに来てまた「目に見える」GUIアプリケーション基盤として盛り上がる兆候が垣間見えた。

サプライズ ― Java SE 7のJavaDocが日本語化

 Java The Nightの表彰後、最後にサプライズとして寺田氏より報告があった。2011年にリリースされたJava SE 7だが当日をもってJavaDocの日本語版を公開したという。

 オラクルがサン・マイクロシステムズを買収した後にリリースしたJava SE 7からは日本語のJavaDocが公開されておらず日本の開発者から失意の声が聞かれていた。「オラクル本社との長期にわたる折衝や日本の開発者の声もあって、ついに実現した」と感慨深く寺田氏は語った。

待望のJava 7 JavaDoc日本語化を報告する寺田氏

サーバサイド以外でも復権なるか

 今回の「Java Day Tokyo 2013」、イベント参加者は、ゆうに千人を超えており、大変活況だったといえるだろう。Ruby on RailsやNode.jsなどJava以外の技術が注目されることの多い今も、Java技術者の勢いは衰えないことを再認識させられた1日だ。正直なところ昨年秋のJavaOne 2012と重複する内容も多かったが「かゆいところに手が届く」リリースであるJava EE 7登場前夜ということもあり、最新仕様の話に技術者たちの鼻息は荒かった。

 また長年サーバサイドのプラットフォームとして重宝されてきたJavaだが、JavaFXによるデスクトップアプリケーション事例、Raspberry Piなど組み込みへの応用など適用範囲の広がりが見えてきたのも今回のイベントの特色だ。

 5月23日にFeature CompleteバージョンがリリースされたJava 8、そしていよいよ6月13日の記念イベントをもってローンチされるJava EE 7など明るいニュースは多い。今後のさらなるJavaの盛り上がりに期待していきたい。

著者プロフィール

山本裕介

Twitter APIのJava向けライブラリ「Twitter4J」やトラブルシューティングツール「」などを開発するオープンソースソフトウェアデベロッパ。

株式会社サムライズム代表。

Twitterアカウント:@yusuke


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